本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
ある日「幻視」した未来に震え、ぼくは書き始めた。『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』の新鋭による希望の物語

ある日「幻視」した未来に震え、ぼくは書き始めた。『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』の新鋭による希望の物語

藤田 祥平

特別掲載に寄せて

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

「別冊文藝春秋 電子版34号」(文藝春秋 編)

 2035年、ICTVとWHOは、2033年に発生した新型病原体を「severe acute imaginary syndrome halovirus(SAIS-HaV)」、それによって引き起こされる疾患を「halovirus disease(HAVID-33)」と命名。

 2036年、当時の日本国教育庁長官、今道信司(当時14歳)が日本国の政治体制に疑問を抱き、辞職。日本国政府に与しないひとびとが集まっていた、旧島根県出雲市のコミュニティに参加し、自治領を設立。その後、出雲自治領と日本国政府は相互不可侵条約締結。

 2037年、日本国は全国民の〈幸福度〉平均化を達成。以後五年間、日本に限ってはとくに語るべきこともない、平和な日々。

 2042年、綿貫鉄兵(当時21歳)が内閣情報調査室情報官補佐に荻原花奏(当時16歳)を指名。ロシア帝国空軍籍機が舞鶴沖にて日本国の領空を侵犯。初代首相、鹿糠信子は第二代首相に鄕田清(当時16歳)を指名して退任、二ヶ月後にヘイローウイルス感染症を発症して死亡(享年22歳)。米帝が中東オイル・ブロックにむけて大陸間概念ミサイル(ICCM)を発射し、アメリカ―オイル概念大戦勃発、同日中に終戦。

 2043年、京都大震災発生。「贖罪の日」到来。一週間にわたり全世界的な規模のスマートダスト通信障害。以後、日本列島全域に一年と一ヶ月と十二日間快晴日なし。アブノーマリティ発生。日本国は解体して北海道連邦に主権を移譲、全国民移住計画発動。第二次救世軍編成。

 2044年、日本列島の言語プロトコルがテロリストによって強制的に削除される。一年と一ヶ月と十二日ぶりに日本列島全域で快晴。出雲大学にて、出雲大学文学部哲学科新任教授、藤原光(当時16歳)による就任講義。

 2045年、世界孤立機関発足。

別冊文藝春秋からうまれた本

電子書籍
別冊文藝春秋 電子版34号(2020年11月号)
文藝春秋・編

発売日:2020年10月20日

プレゼント
  • 『グローバルサウスの逆襲』池上彰・佐藤優 著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/4/19~2024/4/26
    賞品 新書『グローバルサウスの逆襲』池上彰・佐藤優 著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る