文在寅政権は一方的なやり方で、日韓関係を破局に導こうと力を尽くしてきた。
これが何ら大げさな話ではなく、事実であることは誰が見ても明らかだ。二〇一五年の日韓合意を一方的に反故にした(慰安婦問題)。日韓国交正常化時に解決済みの問題を未解決だと一方的に再提起した(徴用工問題)。日韓の安保・防衛協力体制を一方的に損なった(自衛隊機へのレーダー照射、自衛隊機低空威嚇飛行の証拠の捏造、自衛艦旗掲揚自粛要請)。その他多数……。
元徴用工訴訟(正しくは戦時朝鮮人労働者訴訟)での大法院(最高裁)判決は、日韓国交正常化以来の日韓関係の根本を覆してしまった。二〇二〇年中に、日本製鉄と三菱重工の韓国国内資産の差し押さえ手続きが完了しており、資産売却への手続きが進められている。
これに対し、文在寅大統領は「日本企業資産の現金化は司法手続きの一部なのだから、政府はその過程に介入できない」、だから「政府は資産売却の時期を遅らせたり、延ばしたりすることはできない」と主張しつづけてきた。
文在寅は「日本統治時代の個人請求権はいっさい消滅していない」と初めて主張した韓国大統領である。この独善的な「何でもあり」の「反日」が、文在寅政権の「反日」の独自性を形づくっており、北朝鮮も大きく評価するところなのである。
また文在寅政権の反日政策は、政敵である保守派を排除し、「左翼独裁=全体主義国家」への道を開くための、きわめて重要な役割を担っている。文在寅政権の反日姿勢が、歴代政権中飛びぬけて頑なな理由がそこにある。
ところが、日本で菅義偉首相が就任すると文政権は一転、日本にすり寄る政策に変わったかのように見える。文在寅政権の対応は日本人からみて不可解、理不尽に思えるだろう。
二〇一七年五月十日に左派系政党「共に民主党」を与党とする文在寅政権が成立して以来、韓国の外交は、「反日本」「従北朝鮮」に加えて、これまでになく「離米国」「合中国」の旗色を鮮明にしているところに大きな特徴がある。
内政についても、文在寅政権はこれまでの政権とはまるで異なっている。