- 2015.10.21
- 書評
「反日、反日、反日……」それでも韓国ほど面白い国はない
文:黒田 勝弘 (産経新聞ソウル駐在客員論説委員)
『決定版 どうしても“日本離れ”できない韓国』 (黒田勝弘 著)
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
韓国での記者生活が今年で通算32年になる。人生の半分近く、記者生活の6割以上を韓国で過ごしたことになる。人は「何が面白くてそんなに長く……」という。日本では近年、反韓・嫌韓感情が強いから「あんな国によくいられますねえ」ともいわれる。日本で「韓国にいる」というと以前は「大変ですねえ」といわれたのが、その後、韓流ブームで「いいですねえ」に変わったのだが、今また「大変ですねえ」といわれるようになった。
韓国に長くいられるのは、とにかく面白いからだ。飽きたら引き揚げようと思っているが、なかなか飽きない。記者という視点でいえば、とにかく面白いネタが多い。毎日が刺激的で「これはネタになる!」という毎日なのだ。
その大きな背景はやはり韓国と日本の関係の深さである。日本人にとって韓国は世界でいちばん「日本」を意識させられる外国だからだ。韓国のメディアなど良きにつけ悪しきにつけ毎日、「日本、日本、日本」なのだ。新著『決定版 どうしても“日本離れ”できない韓国』にも書いたのだが「まだ日韓併合が続いているみたい」な日常が韓国にはある。
韓国について筆者が考え出した言葉に「異同感」というのがある。韓国は日本人にとって「似ているようで似ていない」「異なるようで似ている」という異同感の相手なのだ。人の外見からはじまり生活、モノの考え方、性格……その他、何でもそうである。この異同感がウオッチャーには実に刺激的だ。こんな外国は韓国しかない。
韓国で日本メディアとして事務所を構えていると、出入りが実ににぎやかである。ネタの持ち込みのほか、韓国人からの相談や頼み事などが無数にくる。「日本で本を出版したい」とか、骨董品や古文書、地方名産の売り込みから、尋ね人・人探しまで。そして「つけ届け」。日常的には「反日」などどこ吹く風である。
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