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韓国ファシズム化への危機 ――文在寅政権が夢見る国家像とは

韓国ファシズム化への危機 ――文在寅政権が夢見る国家像とは

呉 善花

『韓国「反日民族主義」の奈落』(呉 善花)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『韓国「反日民族主義」の奈落』(呉 善花)

 このようにして韓国で着々と開かれているのは、「左翼独裁=全体主義国家」への道なのだ。別の言い方をすれば、「韓国ファシズム化」への道――私はそう考えている。

 ファシズムにおける独裁は、かつての中国やソ連のような「非市場社会」を支配する少数官僚の独裁ではない。かつてのナチス・ドイツやムッソリーニ・イタリアのように、資本制社会の統治を「合法的に」独裁化していくのがファシズムだ。とすれば、中国もロシアも、「旧社会主義国」が近代化を達成してファシズム化した国だということができる。韓国の場合は発展途上国としての「開発独裁」時代を終え、一定の近代化を達成して後、文在寅政権となった今、急速にファシズム化しつつある。

 文在寅政権は、大規模な大衆動員によって誕生した政権だ。二〇一六年十月、朴槿恵大統領の辞任を要求する抗議活動が全国各地ではじまった。参加する人々の数は瞬く間に膨れ上がり、約半年間(二〇一六年十月~二〇一七年三月)で実に一六〇〇万人を数えた。

 韓国民衆をこの巨大な抗議活動の波へと扇動し、全国的な集会やデモ行進を主導したのが文在寅だった。この大衆動員によって、朴槿恵大統領を弾劾へ追い込み罷免することに成功したので、韓国ではこれを「ろうそく革命」と呼んでいる。

 ファシズムの第一要素を「独裁」とすれば、第二要素は「大衆扇動、大衆動員」に求められるだろう。ナチス・ドイツ、イタリア・ファシズム、共産党独裁中国、プーチン・ロシア……いずれも積極的な「大衆扇動、大衆動員」抜きには語れない。

 ファシズムはさらに「国民の自由や人権を制限する政策」を行ない、「反対派を徹底して弾圧・排除」する。これも、文在寅政権成立以後の韓国で、ずっと展開されてきたことなのである。

 第1章から第3章では、慰安婦、徴用工問題など韓国が多くの虚偽を含む反日的主張を繰り返すのはなぜかを、歴史、社会構造、国民心理の面から論じている。

 そして、第4章から第6章では、文在寅政権が推し進めている独裁化、北朝鮮・中国への追従を詳しく述べた。これは、東アジアの外交・安全保障をきわめて危うくする問題を秘めている。

 以上のことを念頭に、本書を読み進めていただければ幸いである。

 令和三年三月二十七日

呉 善花


(「はじめに――韓国ファシズム化への危機」より)

文春新書
韓国「反日民族主義」の奈落
呉善花

定価:968円(税込)発売日:2021年04月20日

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