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現代を生きるうえでの最重要スキルは「読書」! 池上彰、佐藤優の「最強コンビ」がその神髄を語る『無敵の読解力』ほか

現代を生きるうえでの最重要スキルは「読書」! 池上彰、佐藤優の「最強コンビ」がその神髄を語る『無敵の読解力』ほか

【文春新書 12月のラインナップ】

膨大な情報を分析し、本質を理解する力が身につく。
現代を生きるうえで最も重要なスキルは「読書」だ!

『無敵の読解力』(池上彰、佐藤優)

最強のコンビには何を語ってもらっても面白い。今回は、各章で3~4冊の書籍を参考資料にして、現代社会を縦横無尽に斬りまくる。

まず、第1章のテーマは「人新世から見た仕事術」である。ここでの参考図書は、斎藤幸平『人新世の資本論』、グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」、それから白井聡『主権者のいない国』の3冊。斎藤氏が切り拓いた、新しい『資本論』からの視点と、「クソどうでもいい仕事」から、リモートワークの現在や、仕事そのものと資本主義について考える。

第2章は、「米中対立 新冷戦か帝国主義戦争か」というホットなテーマを取り上げる。参考書は、ミアシャイマーの記事、レーニン『帝国主義論』、ホブソン『帝国主義論』、マルクス『経済学・哲学草稿』。いま世界が抱えているのはやはり米中対立の問題である。それを読解するには、レーニンの「帝国主義」が最適である。なぜなら、中国がやっていることは帝国主義路線そのものだからだ。この対立を歴史的にどのように捉え、どう対処していくべきかを探る。

第3章では、「なぜオリンピックはやめられなかったのか」を分析する。部分合理性が全体の不条理を招くという意味で、東京五輪は、ガダルカナル戦やインパール戦に共通する。
参考書は、菊澤研宗『組織の不条理』、後藤逸郎『オリンピック・マネー』、ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』、『日本陸軍 作戦要務令』。日本人に特有の病理が浮かび上がってくる。

第4章のテーマは「愛読書から見るリーダー論」。日本の歴代首相、党代表は一体、どんな本を読んできたのだろうか。その結果は、目を覆いたくなるような惨状で、まともに本を読んでいるのは歴代の共産党代表と、中曽根康弘、細川護熙ぐらい。小泉純一郎、枝野幸男、田中真紀子、土井たか子…その浅さ、教養のなさに唖然とする。菅前総理が挙げたマキアヴェリ『君主論』にいたっては、二人の舌鋒は火を噴く。日本という国はつくづくと凄い国なのである。
ちなみに参考書は、マキアヴェリ『君主論』と早野透『政治家の本棚』。

第5章では「日本人論の名著を再読する」を論じる。参考書はルース・ベネディクト『菊と刀』、オフチンニコフ『桜の枝』、ライシャワー『ザ・ジャパニーズ』。日本人は外側から見られた日本人論が大好きだ。この三冊が名著と呼ばれるにはそれだけの理由がある。『菊と刀』は戦後日本のグランド・デザインをつくるベースとなった点が重要だ。さらに、外部の視点から書かれた日本人論は、私たちが気づかない点を突き付けてくれる。制度や経済状況などによって変わった点はもちろんあるが、いま、わざわざ読み返してみる価値を詳述する。

くわしく見る


12月の文春新書

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  • タイトル
    危機の神学
    著者名
    山本芳久 若松英輔
    発売日
    2021/12/16
    作品紹介
    この危機を、私たちはどう生きるべきか
    歴史を振り返れば「危機」こそが「画期」だった。コロナ禍で顕在化した「危機」への応答を、過去の叡智のなかに探る白熱の神学対談!
  • タイトル
    無敵の読解力
    著者名
    池上彰 佐藤優
    発売日
    2021/12/16
    作品紹介
    書物を通して現代を読解すると、世界の見え方が確実に変わる!
    二人の賢者が選んだテーマは、東京五輪、政治家の教養、外から見た日本人論、現代の仕事論、米中対立。縦横無尽の展開に刮目すべし。
  • タイトル
    ウイルス薬でがんを治す
    著者名
    藤堂具紀
    発売日
    2021/12/16
    作品紹介
    ウイルスが人類のがんを治す救世主になる――
    今年、ウイルスを用いた日本初のがん治療薬が実用化された。外科手術、抗がん剤、放射線治療に替わる「第四の治療法」の開発秘話。
  • タイトル
    歴史探偵 開戦から終戦まで
    著者名
    半藤一利
    発売日
    2021/12/16
    作品紹介
    日米開戦から八十年。提督たちの戦い
    日米両軍の提督のリーダーシップからベルリン、ポツダムなど「ドイツ」の戦跡をめぐった随筆まで。「歴史探偵」シリーズの第三弾。
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