
作家・伊集院静氏が週刊文春で連載している“辛口”人生相談「悩むが花」。その名回答の数々は、ジャンル別にまとめられて『大人への手順』(文藝春秋)として書籍化された。
ここでは同書から一部を抜粋し、伊集院氏の人生を刺激するような回答を紹介。42歳の女性獣医師、19歳の男子大学生、31歳の男性会社員が抱える後悔や悩みに対して、伊集院氏が語りかけた内容とは――。(全2回の1回目/2回目に続く)
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犬の開腹手術に失敗した42歳女性獣医師の相談
私は獣医師として動物病院を開業し、院長を務めています。昨年、犬の開腹手術で2回失敗をしました。すぐに再手術をし、大事には至りませんでしたが、自信をなくしました。廃業も考えたのですが、離婚して小学生の息子を抱えているので、生計を立てるために病院をやめるわけにはいきません。獣医師をやめるべきか、続けるべきか悩んでいます。(42歳・女・獣医師)
42歳の獣医科の女史先生。よく頑張っていらっしゃいますね。
それで悩みは何でしょうか?
フムフム、開腹手術で、これまでに2度失敗をなさいましたか? しかしその後の処置がよくて大事になりませんでしたか。それは良かったですね。そのペットも、飼い主も幸運でしたね。これから頑張って、仕事を続けて下さい。
それがこれから先、獣医を続けて行く自信がなくなりそうになる時がありますか?
あなたは正直だ。獣医師にかかわらず、人間の外科も内科も、他の科の先生たちは、誰しも手術、処置で、多少はあっても失敗をしていると思います。
失敗は生命にかかわるから許されない?
そんなことはありません。どんな職業でも失敗は必ずあります。大切なのは、それをくり返さないこと。失敗に至る原因をよく把握して、次の仕事に立ちむかうことです。
私も先月、17年飼った犬を失くしました。
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