
インスタグラムをやらない理由
酒井 インスタグラムやツイッターをする芸能人も多いですが、小林さんはいっさいなさってないですよね。
小林 友だちが見るインスタはやってますよ、四十人くらいで(笑)。
酒井 それはなぜでしょうか?
小林 ただでさえ仕事でウソをついてるのに、これ以上盛るのは疲れるなと(笑)。酒井さんもされていないですよね。
酒井 してないですね。やっぱり恥ずかしい……。この本の中の「中年とSNS」という章が文春オンラインに転載されたとき、予想以上の勢いで拡散されて、いわゆる「バズった」のですが、面白いという反応がある一方で、SNSに連投しているようなタイプの人は怒りのコメントをしていたりして、あまりの反響にビビってしまいました。たぶん、そこに書いた「SNSが人々の眠れる自慢欲求に火をつけた」というのは、みんな内心で思っていながら言えなかったことだったのかなぁ、と。

小林 きっとそうですね。私も二年前にピアノを始めたんですけど、褒めてもらう前提で、友人にプレイの動画を送りつけてます(笑)。「わぁーすごい上手になったね~」って。「褒められる前提」ってメッセージを添えてます(笑)。
酒井 でも、小林さんのインスタを見たいという人は多いと思うのですが。
小林 いえいえ、ないです。地味で普通ですし……。
酒井 北欧調の家具に囲まれて、丁寧な暮らしでパンを焼いてらっしゃいそうなイメージがあります。
小林 なるほど(笑)。家具は、ほとんどないです。
酒井 えっ、そうなんですか。
小林 ひとりで動かせる家具しか置かないことにしてます(笑)。ベランダのプランターにも虫がこないようにネットをかけたりしてぜんぜんお洒落じゃない(笑)。インスタ映えするガーデニングというのとはちょっと違います。
いちばん他人の恥ずかしい姿を目撃している職業は?
酒井 小林さんは、俳句も詠まれますが、こちらも表現活動のひとつですよね。
小林 あ、もしかしたら俳句もある意味自慢行為かもしれないですね。句会でいい句を作って褒められたい、みたいな。表現するって自慢と密接(笑)。酒井さんは、俳句はなさらないんですか?
酒井 俳句も自分がそのまま出てしまうから、やっぱり恥ずかしい……。
小林 酒井さんは「年をとると恥ずかしいという感情が摩耗してくる」って書かれてましたけど、俳句でもそうですよ。ついカッコいいのを作ろうとか、ちょっとおセンチな句をつくっちゃったりとか、たしかに恥ずかしいんですけど、「恥ずかしい」という自意識が過剰なのも粋じゃないですからね。「大丈夫。誰もそんなに気にしてないから」っておまじないを唱えてます(笑)。

酒井 そう思えるようになるのは、年をとって良かったことですね。そんな中でも最近、恥ずかしかったことってありますか?
小林 マスクをしながら「えーっと、私のマスクどこだっけ」って探してたことですね(笑)。一日中マスクを裏返しにつけてたこともあります。
酒井 私も昨日、ジーンズのチャックを一日中全開にしていたことに、家に帰ってから気づきました(笑)。加齢で増える恥もありますね。私、世の中でいちばん他人の恥ずかしい姿を目撃している職業は、宅配便の配達員さんじゃないかと思うんです。人は皆、最も気の抜けた姿を配達員の方には晒している。どんな姿を見ても驚いたりせずに平然と対応しているのはエライなぁと思いますね。
小林 たしかに(笑)。酒井さんはご自分の恥ずかしかった経験というと何を思い出しますか?
酒井 会社員時代の話なのですが、会議中はいつも眠くなって、安全ピンで自分の手を刺したり、コーヒーをがぶ飲みするなどしていたんですね。でも、ある時、コーヒーを口に含んだ瞬間に、寝ちゃったんですよ。その結果、口からバーッとマーライオンのようにコーヒーが……。でも、みんないい人だったので、見て見ぬふりをして淡々と会議を進めてくれました(笑)。
-
幸福の絶頂への道に潜む不幸の影に、私達の胸は高鳴る。
-
「女は、怖い」のではない。「怖いから、女」なのだ
2020.07.22書評 -
只野真葛は、「清少納言がもっと書いていたら?」という姿を想像させる存在
-
『あまからカルテット』 解説
2013.12.02書評 -
おひとりさまでも、認知症でも大丈夫。慣れ親しんだ自宅で幸せな最期を迎える方法
2021.01.20ためし読み -
馬場典子が綴る「先輩アナウンサー」への詫び状──小説『全力でアナウンサーしています。』を読んで
2022.06.15インタビュー・対談
-
『亡霊の烏』阿部智里・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2025/03/28~2025/04/04 賞品 『亡霊の烏』阿部智里・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。