本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
「あの男前のヴォーカルが、完全なる変態に…」King Gnu・井口理が『白日』で見せた、目を疑うほどの“変貌”とは?

「あの男前のヴォーカルが、完全なる変態に…」King Gnu・井口理が『白日』で見せた、目を疑うほどの“変貌”とは?

高橋 弘希

「文學界」大好評連載! 近現代音楽史概論B 出張編・King Gnu

出典 : #文春オンライン
ジャンル : #小説

 ――御手洗君、これって経費でどうにかならんのかね。

 ――ロッキンでの体験を元に先生が原稿を書くのならば、経費にすることもできるでしょう。ところで先生、先月の経費として計上されているFANZAの月額見放題プランですが、こちらはいずれ原稿になるのでしょうか?

 そんな訳で、私は意気揚々とロッキンの通し券を購入した。くしくも本稿が掲載される翌日、8月6日から今年のロッキンが始まる。本体験を原稿にしなければ“令和の脱税作家”となり違う意味で文春オンラインに登場しそうなので、ライヴの全貌はいずれ連載で記そう。して、King Gnuの総評をする。

 

King Gnuの“独自性”とは?

 90年代、非常に強い主旋律を持った楽曲が量産され“Jポップ”と名づけられたが、例えば「白日」を聴くとなぜかあの楽曲群に近い印象を受ける。どこを切り取ってもサビに聴こえるというあの感覚――、この強い主旋律をポップスでもロックでもなくミクスチャー・ロックに乗せたところに彼らの独自性があった。同時にこのミクスチャー、《混ぜ合わせ》の素材が非常に多岐に渡り、その領域はハードロックやヒップホップやクラシックやジャズにまで及び、本来ならば分かり難い雑多な音楽になりそうなものだが、強い主旋律とあの稀有なヴォーカルによって広い間口を設け結果として大衆の支持を得た。つまり“Jポップ”をも混ぜ合わせに用いたと言える。King Gnuに限らず、ポップスやロックの範疇の外で強い主旋律を持つアーティストは近年の邦楽に度々登場しており、その源泉を辿れば07年のDTMソフトウェアによるあの技術革命にあるのでは、と私は踏んでいる。この推測が確かなものか否かは、引き続き文學界の本編で探っていきたい。

「近現代音楽史概論B」は、雑誌「文學界」で連載中

 さて、冒頭でも記したが、本稿の目的は自著の新刊の宣伝である。そして本稿を読み返し、私はあることに気づく。一文たりとも新刊の宣伝をしてねぇじゃねぇか。これはいけない。新刊の売上が芳しくない場合、我が心の友、アイ●ルとのお約束も果たせなくなってしまう。しかし残り少ない文字数で新刊をアピールすることは不可能ゆえ、私が編集部に提案して敢えなく没になった新刊の帯文を列挙して、筆を置くことにする。

〈 ――鬼才、ついにそのベール(パンツ)を脱ぐ。

 ――マノウォーは演るのではなく殺るのです。

 ――アンプはマーシャル、時計はロレックス、車はメルセデスなのデス。〉

※編集部注:8月9日(火)発売の『音楽が鳴りやんだら』(文藝春秋)のこと。

単行本
音楽が鳴りやんだら
高橋弘希

定価:2,090円(税込)発売日:2022年08月09日

電子書籍
音楽が鳴りやんだら
高橋弘希

発売日:2022年08月09日

プレゼント
  • 『妖の掟』誉田哲也・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2022/12/06~2022/12/13
    賞品 『妖の掟』誉田哲也・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る