- 2023.03.31
- インタビュー・対談
闇を抱えたバディが魅せる「復讐の理」――往年の傑作エンタメ小説が“新しい時代劇”に生まれ変わる! 豊川悦司×片岡愛之助
取材・構成:生島 淳
池波正太郎生誕100年記念 現代に届く『仕掛人・藤枝梅安』を
2月に公開され話題を呼んだ、映画『仕掛人・藤枝梅安』。その2部作目が4月7日より公開されます。鍼医者・藤枝梅安と、楊枝職人・彦次郎には、金をもらって依頼を受け、生かしておいては世のためにならない人間を殺す“仕掛人”という裏の顔が……。
ダークヒーローを演じた豊川悦司さん、そのバディを演じた片岡愛之助さんに、池波作品が描く「闇」の魅力について伺います。
――今回、『仕掛人・藤枝梅安』2部作に出演されて、どっぷりと池波正太郎さんの世界に浸かったと思いますが、おふたりにとって池波作品には、どんな思い入れがありますか。
豊川 まず、なによりも面白いということです。とにかく、早く続きが読みたくなる。梅安シリーズは絶筆になってしまったのが、読んでいて悔しいほどです。そう感じるのも、登場人物に魅力があるからですよね。キャラクターだけではなく、その人物が生きている背景が浮かび上がってくる。そこが池波先生の作品群の魅力でしょう。そして今回、そうした感覚を映画の中に、どう落とし込むか。それが今回の大きなテーマだったと思いますが、実現できたのではないかという手応えがあります。
――愛之助さんは時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇『鬼平外伝 四度目の女房』にも出演されています。
愛之助 池波先生の作品に出演すると、食事のシーンの撮影が楽しみなんですよ(笑)。
豊川 今回は、池波先生の作品の料理に関する著書(共著)もある日本料理の名店「分(わけ)とく山(やま)」の総料理長・野﨑洋光さんに料理監修をお願いし、何度も撮影所に足を運んでいただき、その現場で料理を作っていただきました。
愛之助 たくさん、いただきました。美味しいものをいただけるので、本当に幸せでした。
豊川 もちろん、当時の料理を再現するわけですからとてもシンプルなものですが、出汁と素材でこんなにおいしい料理が出来ることに驚きましたね。
――たしかに湯豆腐が美味しそうで……。
愛之助 彦次郎は食べられないシーンがあって、「いいなぁ」と指をくわえて見ていたら、豊川さんが「これ、良かったらひと口どうぞ」と持ってきてくださって。美味しくいただきました(笑)。
――おふたりの関係性の良さが伝わってきます。
豊川 実は、監督やプロデューサーに「彦次郎役のイメージはありますか」と相談された時に、最初に思い浮かんだのが愛之助さんでした。
愛之助 はじめてうかがいました(笑)。それは、本当ですか?
豊川 本当ですよ。これまで共演した経験はなかったけれど、僕には愛之助さんしか浮かばなかった。それは愛之助さんが持ってらっしゃる役者としての「華」が、他の俳優さんとは違った匂いがするなあと感じていたからなんです。「いつか御一緒したいな」と思っていたので、最高の形で共演させていただきました。
愛之助 こんなにうれしいことはないです。歌舞伎とのスケジュール調整もうまくいき、全力で専念させていただくことができました。
豊川 うまく行く時って、そういうものですよ。
愛之助 本当に良かったです。これまで映像作品に出演する場合は、歌舞伎に出演しながら撮影に参加させていただくのですが、今回はこの作品にのめりこんだ三カ月間だっただけに、豊川さんのそのお言葉はうれしいです。でも、豊川さんの梅安さんをはじめて拝見した時に、「うわっ、原作の梅安がそのまま出てきた」と思いましたよ。
――原作では彦次郎の方が年上ですが、今回は梅安の方が年上という設定に変わっていますね。
愛之助 有難いことに、今回ならではのことでした。自然に表現出来たかと思っています。
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