- 2023.03.31
- インタビュー・対談
闇を抱えたバディが魅せる「復讐の理」――往年の傑作エンタメ小説が“新しい時代劇”に生まれ変わる! 豊川悦司×片岡愛之助
取材・構成:生島 淳
池波正太郎生誕100年記念 現代に届く『仕掛人・藤枝梅安』を
2部作公開ならではの世界観に
――今回、1作目と2作目が時を置かずして公開されることもありますが、物語として連続していながらも、それぞれ単独で楽しめる仕上がりになっています。2作品の撮影だと、1作目と2作目の演じ分けを意識されましたか。
豊川 撮影自体は、1作目と2作目をないまぜで撮影していたので、作品によって演じ分けていた意識はありませんでした。ただし、完成した作品を見ると、演出的には1作目は河毛監督の世界観が凝縮されていて、完成度が高いと思いました。むしろ、2作目の方が冒険していると思います。池波文学という視点から見ると、冒険を試みている2作目の方が池波先生の世界観がうまく表現されているという気もしました。
――それは興味深いですね。
豊川 1作目は内面を深く掘り下げていく感じ。2作目はエネルギーが外へ、外へと向かっていき、池波作品の活気が表現されている気がします。
愛之助 たしかに2作目は「いよいよ復讐劇が始まった」というエネルギーが放出されていますよね。豊川さんがおっしゃるように、そういうところに池波先生の作品らしさを強く感じます。
――今回は天海祐希さん、菅野美穂さん、そして高畑淳子さんと、女優陣がとても魅力的です。彼女たちの「ここがすごいな」だとか、「ここが怖いな」というところがあれば、教えてください。
豊川 怖いところは、口が裂けても言えません(笑)。幸いなことに、私はお三方ともに共演経験がありました。たしかに男性キャラクターが多い映画ではありますが、女優さんたちがストーリーを彩ってくれたのは間違いありません。それも作品世界の内側に入り込んでくれたからだと思います。
愛之助 池波先生の作品は伝える力がとても強いですし、完成した映画を拝見すると河毛監督が「斬新な時代劇にしたい」とおっしゃられた意味が分かりました。すごくスタイリッシュな作品に仕上がっていると思います。
――3作目が見てみたいと思ってしまうのですが……。
豊川 撮影にあたり、髪を剃りました。今は当分、髪の毛を伸ばしていたいです。やっと、だいぶ伸びてきたところですから。
愛之助 3作目が決まった暁には、バッサリと(笑)。
豊川 その覚悟はしておきます(笑)。そういうお話を頂戴できるくらい、ヒットして欲しいですね。
「オール讀物」2023年2月号より転載
『仕掛人・藤枝梅安㊀㊁』
原作:池波正太郎(『仕掛人・藤枝梅安』(講談社文庫刊))
監督:河毛俊作
出演:豊川悦司 片岡愛之助
菅野美穂 小野了 高畑淳子 小林薫
第1作ゲスト:早乙女太一 柳葉敏郎 天海祐希
第2作ゲスト:一ノ瀬颯 椎名桔平 佐藤浩市
『仕掛人・藤枝梅安2』は4月7日(金)より公開。
【映画公式HPはこちら】
https://baian-movie.com/
※「本の話」ポッドキャストでは、「オール讀物」編集部が語る「祝・映画化。豊川悦司と片岡愛之助が『仕掛人・藤枝梅安』で魅せる!」もお聴きいただけます。
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