「オール讀物」の看板小説として、テレビドラマや舞台の原作として、長年愛され続けていた『御宿かわせみ』シリーズの作者・平岩弓枝さん。27歳の時に「鏨師(たがねし)」で直木賞を受賞後、テレビドラマ「女と味噌汁」「肝っ玉かあさん」「ありがとう」シリーズなど、脚本家としても活躍され、多くの俳優と親交がありました。
さらに田辺聖子さんとともに女性初の直木賞選考委員に就任し、『花影の花』で吉川英治文学賞を受賞、紫綬褒章、菊池寛賞、文化勲章など、作家としての功績ははかりしれません。さる2023年6月9日、91歳で亡くなられた国民的作家の足跡を辿った文春ムック「平岩弓枝『御宿かわせみ』の世界」が刊行されました(電子書籍も同時刊行)。
このムック本では、平岩さんの直木賞受賞作「鏨師」を、大佛次郎、海音寺潮五郎、吉川英治、中山義秀、村上源三ら当時の錚々たる選考委員の選評とともに全文掲載。さらに300話を越す『御宿かわせみ』の中から、シリーズ第1話「初春(はる)の客」、読者の人気の高い「白萩屋敷の月」「祝言」の3作品を傑作選としてセレクトしています。
さらに豪華なのは、『御宿かわせみ』を演じた俳優陣との対談の数々で、新珠三千代さん、田村亮さん、名取裕子さん、沢口靖子さん、高島礼子さん、中村橋之助(現・芝翫)さん、真野響子さんらが競演しています。また古くから親交のあった山田五十鈴さん、八千草薫さん、若尾文子さんという、伝説の日本女優たちとの秘話も収められました。
文庫の表紙でお馴染みの蓬田やすひろさんの挿絵による、『御宿かわせみ』登場人物の紹介や、全作品リストのほか、平岩さん自らが語った貴重な講演録やインタビュー、エッセイ「わが来し方の記」も含め、60年間の作家生活のすべてが詰まった、文春ムック「平岩弓枝『御宿かわせみ』の世界」。永久保存版にふさわしい内容でお届けします。