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【王様のブランチに登場】「滅多にないんですけど、『いいの、書いた!』と思えた作品です」万城目学さんが最新作『八月の御所グラウンド』に込めた思いとは

【王様のブランチに登場】「滅多にないんですけど、『いいの、書いた!』と思えた作品です」万城目学さんが最新作『八月の御所グラウンド』に込めた思いとは

『八月の御所グラウンド』(万城目 学)


ジャンル : #小説

『八月の御所グラウンド』(万城目 学)

 多部未華子さん主演でドラマ化された『鹿男あをによし』や、綾瀬はるかさん主演で映画化された『プリンセス・トヨトミ』をはじめ、歴史をモチーフにしたり、現実と非現実が入り交じるストーリーで多くの読者を獲得している人気作家・万城目学さん。

 その万城目さんの最新作が、この8月に刊行されたド直球の青春ファンタジー小説『八月の御所グラウンド』(文藝春秋刊)です。
 京都大学出身で、2006年のデビュー作も京都を舞台にした青春ファンタジー『鴨川ホルモー』と、京都にゆかりの深い万城目さんでしたが、意外にも京都を舞台にした作品は本作がなんと16年ぶり。

 ということで、TBS系『王様のブランチ』のインタビューも、酷暑の京都で行われました。
 インタビュアーの鈴木美羽さんと万城目さんが待ち合わせたのは、物語にも登場する、鴨川にかかる加茂大橋。鴨川べりを歩きながらインタビューはスタートします。

――どうですか、実際、京都を舞台に作品を書かれてみて?

万城目さん「滅多にないんですけど、なんだか、『いいの、書いた!』という思いがありました。書いた後、いつもと少し違うなにかがありましたね」

 2人は、スパゲティとケーキの名店、セカンドハウス出町柳店へ。「ここ、物語に出てくるお店ですよね。実際にあるんですね!」と鈴木さんもテンションアップです。

セカンドハウス出町柳店

「生者と死者が交わる場所、という切り口で京都を描いたら......」

 新作は表題作と、女子全国高校駅伝で都大路を走る女子高生が主人公の「十二月の都大路上下(カケ)ル」の2編が収録されていますが、番組では表題作『八月の御所グラウンド』を紹介。

 舞台は8月、夏の京都、主人公は大学生の朽木(くちき)。彼女にフラレたばかりで何もやる気が出ない日々を過ごす朽木が、友人の多聞から無理やり誘われ、早朝の御所グラウンドで開催される草野球試合に出場することに。

 寄せ集めのメンバーはときに足りなくなるため、野球経験のない留学生のシャオさんも参加したりと、試合が成立するかはいつもギリギリ。

 ある時、いよいよメンバーが揃わなくなった時、シャオさんが「それならば、誘いましょう」と、偶然そこに立っていた男性をスカウトするのです。

 草野球への参加を快諾してくれた「えーちゃん」は、試合が始まるとピッチャーを担当。

 相手バッターが守備の穴であるシャオさんのセカンドを狙っているのを知ると、その卑怯な攻め方に腹を立てたのか、「えーちゃん」は「まっすぐ、真ん中」を宣言。大きく振りかぶると、とんでもない剛速球を投げ込むのです。

 その試合から数日後、朽木はシャオさんに話があると呼び出され、そこである昔の画像を見せられる。

 すると、そこには「えーちゃん」と瓜二つの人が写っていました。
 でも、その人はもう、この世にはいないはずの人物だったのです。
 そこで朽木とシャオさんは、「えーちゃん」の正体を探りはじめます。

――この物語は、どうやって生まれたのですか?

万城目さん「生者と死者が交わる場所、という切り口で京都を描いたら、なにか書けるんじゃないか、というアイデアが、あるときフッと湧きまして。それがきっかけでした」

「えーちゃん」と古い写真の人物は、他人の空似か? そうでなければ、なぜ「えーちゃん」は京都にあらわれたのか。そして「えーちゃん」は野球にどんな思いを抱いていたのか?

「みんな、野球がやりたかったんだ」――。

万城目さん「なにかしらひとつの出来事を経て、僕なりに主人公たちの姿を借りて、ちょっと前に進めるような言葉を残しているので…..」

――読んだ人に一歩、勇気を与えてくれるような、そんな言葉を。

万城目さん「そうなっていたら嬉しいな、と思っています」

まさに夏の京都が生んだ奇跡の作品、この8月、是非味わってみてはいかがだろうか。

単行本
八月の御所グラウンド
万城目学

定価:1,760円(税込)発売日:2023年08月03日

電子書籍
八月の御所グラウンド
万城目学

発売日:2023年08月03日

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