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編集長が語る【オールの讀みどころ】 2024年9・10月特大号は直木賞決定発表&髙見澤俊彦長篇新連載!

編集長が語る【オールの讀みどころ】 2024年9・10月特大号は直木賞決定発表&髙見澤俊彦長篇新連載!

文:「オール讀物」編集部


ジャンル : #小説 ,#エンタメ・ミステリ ,#歴史・時代小説

「本の話」を読んでくださっているみなさん、いつもご愛読ありがとうございます! 編集長の石井です。

 5人の精鋭でつくっている「オール讀物」の裏話、日ごろ編集部内で起きているよしなしごとについては、note不定期連載の編集部だより「オールの小部屋から」で(最近、更新が滞っています、すみません)発信しておりますので、チェックしてみてください! 定期購読者向けにニューズレターもお送りしております。こちらもぜひ、定期購読をお申し込みの上、お楽しみいただけたら幸いです。

 こちら「本の話」の月イチ連載「オールの讀みどころ」では、最新号について、どんなところに力を入れたか、企画の数々を紹介していきます。「オール讀物」9・10月特大号。直木賞の発表号でございます。

「オール讀物」9・10月特大号

 河﨑秋子さん『ともぐい』万城目学さん『八月の御所グラウンド』のダブル受賞に沸いた前回から早や半年。第171回直木賞は、一穂ミチさん『ツミデミック』と決まりました。選考委員会満場一致、決選投票なしの1作受賞です。版元である光文社さんは、生島治郎『追いつめる』以来、57年ぶりの直木賞だそうで、みなさん喜んでくださって、こちらも幸せな気持ちになりました。

 生島さんの『追いつめる』には個人的な思い出もあります。私の本棚にはカッパ・ノベルス版『追いつめる』が大切にしまってあるのですが、日本のハードボイルド史はこの作品から始まるといっても過言ではない記念碑的な傑作で、大学生の時、古書店を探してようやく手に入れたカッパ・ノベルス版『追いつめる』を二度、三度と味読したことをよく覚えています。

 さて、一穂ミチさんの直木賞特集です。「記念対談」の相手は、受賞が決まった夜のうちに、選考委員である三浦しをんさんにお願いしました。対談でご自身が明かしてらっしゃるように、三浦さんは一穂さんのデビュー作が雑誌に掲載された時から追いかけている筋金入りの一穂ファン。人物造型、描写の工夫に至るまで、小説が生まれる源に迫ってゆく深い対談となりました。いっぽうで、お祝いのお花をどうするか、とか、締切間際のエピソードなど、楽しいお話ももりだくさん。恒例の「自伝エッセイ」では、生まれ年のこと、幼少期の思い出、筆名の由来などが綴られ、等身大の一穂さんに触れられるような気持ちになり、ともに必読です。猛暑の東京で撮影を敢行した特写グラビアも必見! 記念の特集をご堪能ください。

三浦しをんさん

 直木賞発表に絡めてご紹介したいのが、村山由佳さん渾身の連載「PRIZE-プライズ-」です。「直木賞が欲しい。他のどの賞でもなく、直木が」――こう呟く女性作家を赤裸々に描いて文壇に衝撃を与えた本連載は、ちょうど1年前、第169回直木賞の発表号よりスタートしました。傍若無人、傲岸不遜、しかし創作に対してだけはどこまでも真摯。このとんでもない女性作家を待ち受ける運命は――。600枚をこえる長篇連載が、今号で完結しました。戦慄せざるをえない物語の終幕をどうか味わっていただけたらと切に願います。

 お待ちかね、皇室の女性を描いていく林真理子さんの短篇新作「母より」をはじめとして、窪美澄さん、恩田陸さん、北村薫さん、荻原浩さん、朱川湊人さん、西條奈加さん、川越宗一さん、シーズン21に突入した石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」まで、直木賞作家豪華読切は必読です。

 本誌連載『一場の夢と消え』の刊行を記念しておこなわれた、松井今朝子さんと松岡和子さんによる豪華対談「近松vs.シェイクスピア」も読みのがせません。東西を代表する偉大な劇作家の意外な共通点がおふたりの討議から浮かび上がってきます。シェイクスピア翻訳の泰斗・松岡さんから次々に飛び出す博覧強記のエピソードの数々にはただ圧倒されるばかり。研究を重ねること、学びつづけることの神々しさに触れて、近くで拝聴していた私は、思わず居住まいを正しました。本を愛し、学びを愛することのかけがえのなさを感じられる対談ではないでしょうか。

松井今朝子さん
松岡和子さん

 THE ALFEE デビュー50周年を記念し、髙見澤俊彦さんの新連載「イモータル・ブレイン」が始まりました。あらすじを簡単に紹介しますと――代々木公園を散歩している一見、平凡きわまりない男には、人知れぬ秘密があった。1400年近い“暗殺の秘史”を一身に背負って生きているのだ。あるときは蘇我氏を、あるときは源氏の嫡流を、あるときは天下統一を控えた戦国武将を……。男は日本の歴史を大きく変えた暗殺事件に深く関与し、その生々しい記憶を持ったまま転生を繰り返していた。いま代々木公園を歩いている男は、いかなる使命を帯びてこの令和の東京に現れたのか? ……といった壮大な物語で、いわば髙見澤版「暗黒の日本史」ともいえる歴史SF長篇です。

 髙見澤さんが神田神社の岸川雅範禰宜と語る神道入門コラム「神様について語ろう」も好評連載中。今回は、THE ALFEEが50周年記念で参加した「青森ねぶた祭り」や「秋田竿燈まつり」を入口に、日本の神様と祭りの歴史についてわかりやすく解説していきます。長篇小説とコラムと、真夏の“髙見澤祭り”をお楽しみいただけたらうれしいです。

神田明神の納涼祭りには、THE ALFEEとオール讀物の提灯が並んだ

 ほか、トリを飾る夢枕獏さん「陰陽師」をはじめ、赤川次郎さんの「幽霊シリーズ」畠中恵さん「まんまこと」坂井希久子さん「江戸彩り見立て帖」砂原浩太朗さ「藩邸差配役日日控」村木嵐さん「畸人・大田南畝」まで、オールを代表する人気シリーズがそろい踏み。

 さらにコロナ後の「もうひとつの日本」を描く宮下奈都さんの短篇新作、オール初登場となる降田天さんのキャリア警察官ミステリーなど、現代小説も充実しています。

 読みどころいっぱいの「オール讀物」9・10月号をどうぞよろしくお願いいたします!

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雑誌・ムック・臨時増刊
オール讀物2024年9・10月号
オール讀物編集部

定価:1,500円(税込)発売日:2024年08月22日

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