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- 2025.02.21
- 特集
編集長が語る【オールの讀みどころ】 2025年3・4月号は第172回直木賞決定発表!&直木賞作家特集
文:「オール讀物」編集部
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
,#歴史・時代小説
「本の話」を読んでくださっているみなさん、ご愛読ありがとうございます! 「オール讀物」編集長の石井です。
5人の精鋭でつくっているオールの裏話、日常のよしなしごとについては、note不定期連載の編集部だより「オールの小部屋から」で発信しておりますので、チェックしてみてください! 定期購読者向けにニューズレターもお送りしております。こちらもぜひ、定期購読をお申し込みの上、お楽しみいただけたら幸いです。
この「本の話」の隔月連載「オールの讀みどころ」では、最新号について、渾身の企画を紹介していきます。「オール讀物」3・4月号は、直木賞発表号です。
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一穂ミチさん『ツミデミック』の受賞に沸いた前回から早や半年。今回は伊与原新さん『藍を継ぐ海』の受賞と決しました。選考委員会満場一致、決選投票なしの1作受賞は、前回と同じです。
受賞作は5編を収めた短編集。北海道、奈良、徳島、山口、長崎と、舞台となる土地も人もさまざまで、自分はどの作品が心に残ったかを、読んだ人どうしで話し合ってみるのも楽しいと思います。誌面には表題作「藍を継ぐ海」を全文掲載いたしました。ウミガメの産卵を見守る少女の物語は多くの人の胸を打つことでしょう。
伊与原さんは現在「オール讀物」にて「宙わたる教室」シーズン2を連載中。NHKドラマでファンになった方も多いのではないかと思います。受賞決定直後の多忙を極める中、伊与原さんは連載原稿を落とすことなく(!)受賞第一作「ロケット・センパイ」を書き上げてくださいました。入院していた定時制高校のクラスメイトが復帰し、科学部メンバーに新たな目標が生まれる「ロケット・センパイ」。涙なしには読めない感動の最新作です。「宙わた」ファンのみなさん、どうか読みのがしなく!
新選考委員・辻村深月さんとの受賞記念対談は、ミステリー、科学、ドラえもんと、話題が尽きません。待ち会の様子を淡々と語る伊与原さんに対し、初めての選考に臨む緊張感を告白する辻村さん。「オール讀物」でなければ絶対に読めない対談だと思います。
科学好きの少年から研究者、やがて小説家へ――伊与原さんが人生の来歴をふりかえる「自伝エッセイ」、かつての学び舎を再訪する特別グラビア、祝辞、読書ガイドに至るまで、どの特集も読み応えのあるものばかり。ぜひ伊与原ワールドをご堪能いただけたらと思います。
直木賞作家特集ということで、ベテラン女性作家おふたりにご登場いただきました。まず、『皇后は闘うことにした』を上梓したばかりの林真理子さん。林さんはよくご自身を“皇室マニア”“皇室フェチ”とおっしゃいます。そのマニアぶりをいかんなく発揮した「皇室の結婚 こんなに面白い!」は、「オール讀物愛読者大会2025」での講演の記事化となります。
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もうひとり、新著『PRIZE-プライズ-』で「直木賞が欲しい」と渇望する女性作家を活写した村山由佳さんは、22年前の自身の直木賞受賞時をふりかえりつつ、「作家にとって賞とは何か」を語ってくれました。誌面の都合で短いインタビューとなりましたが、およそここまで生身の実感に引き寄せて「文学賞は何のために存在するか」を正直に語った例は他にないのではないでしょうか。これもまたオールならではの記事といえるでしょう。
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直木賞作家読切競作も豪華のひと言。110枚一挙掲載の島本理生さん「一撃のお姫さま」は歌舞伎町の夜の街を精緻に描き、窪美澄さん「雪が踊っている」は互いに母となり父となった男女の再会を描いて強烈な印象を残します。陰謀論者たちの“サミット”を描く荻原浩さん「陰謀百物語」、江戸の能力者が水茶屋に集まる朝井まかてさん「宝引き」、石田衣良さん池袋ウエストゲートパーク最新作「池袋NO NAME」(前編)、北村薫さん「中野のお父さん」、川越宗一さん「満徳寺調べ帖」いずれも必読です!
新春読み物企画も強烈です。髙見澤俊彦さんと神田明神・岸川雅範さんがタッグを組む神道入門「神様について語ろう」は、THE ALFEE紅白出場の裏話に始まり、新年行事と神道の関係、さらには神仏習合の文化に迫っていきます。
今年は地下鉄サリン事件から30年。歴史的事件の節目を機に、当時、警視庁科学捜査研究所でサリンの鑑定にあたった服藤恵三さんが、渾身のドキュメント「一九九五年三月二〇日」を寄稿してくださいました。秘蔵の写真とともに、あの日の朝、科捜研で何が起きていたのかを綴る貴重な記録です。
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人気シリーズ競演も見逃せません。連載第2回にしてますます引き込まれる原田ひ香さん「#台所のあるところ」はじめ、赤川次郎さん「幽霊シリーズ」、夢枕獏さん「おくのほそみち」、坂井希久子さん「江戸彩り見立て帖」、坂木司さん「おやつ部」、村木嵐さん「畸人・大田南畝」、水生大海さん「社労士ヒナコ」の新作が勢ぞろいしました。
“ありえたかもしれない”もうひとつの日本の姿を繊細な筆で浮き彫りにしていく宮下奈都さん「薄闇でジャンプ」は、これぞ短編の精髄。バドミントンに熱中する高校3年の少女を通して“薄闇のように存在する何か”が見えてきます。
単行本にして5冊分。質量ともに充実の「オール讀物」3・4月号をどうぞよろしくお願いいたします! この機会に、さまざまな特典のある定期購読もぜひご検討ください。
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