書評

おかげさまで、急性白血病の告知後四年が過ぎました

文: 加納 朋子

『無菌病棟より愛をこめて』 (加納朋子 著)

 そうそう、本書の記述で、ひとつ誤りがあります。無菌室で一時お隣同士で、私が口腔ケアの重要性についてお伝えした患者さんについて。文中で「男の子」呼ばわりしていたのですが、後日患者交流会でお会いしたとき、思っていたよりも(てっきり二十歳前くらいかと……)十歳ほど年長であったことがわかりました。ご当人から「ちゃんと訂正しといてくださいよ」と笑顔で言われたので、ここでお詫びし、訂正させていただきます。言い訳じみていますが、本当に「髪の毛がなくてケア帽子、パジャマ姿、やせ気味の体型」という無菌病棟スタイルは、人を年齢不詳にしますよね……。かく言う私も、だいぶ若く見積もられがちでしたし。女性なら喜んじゃうところですが、男性はそうもいかないですよね……。

 何はともあれ、患者交流会で元気な姿で再会できるのは、とても嬉しいことです。私は三回分皆勤ですが、一度もお見かけしない方も多く、どうされているのか心配になります。「良くないらしい」とか「再発したそうだ」などの噂も耳にし、胸が塞がる思いもします。今ではある程度快復が見込める病気になったとは言え、やはりまだまだ厳しい現実がそこにはあります。

 交流会では専門の医師による講演もあるのですが、勉強になる以上に、我々患者にとって衝撃的なお話がありました。曰く、骨髄移植を受けた患者は紫外線に気をつけること。GVHDによる深刻な皮膚の炎症を引き起こすことがある……そういう前振りの後、眼の部分が隠された患者さんの画像が大写しになりました。それは炎症なんて生やさしいものではなく、火傷痕のようにケロイド状になって盛り上がり、引きつれ、関節部が動きづらくなっているケースも。

 元々、退院前に患者は紫外線に気をつけるようには指導されています。けれど私を含めた皆さんの認識としては、せいぜい免疫抑制剤を服んでいる期間、といった程度だったと思います。ところが、皮膚科の先生がおっしゃるには、気をつけるべき期間は、生涯。そして治療法は、なし、とのこと……。

 なんなのこれ、怖すぎる……と、その時の参加者には間違いなくトラウマが植えつけられたものと確信しています。

 その後の私は、夏場でも長袖やアームカバーを装着、常に帽子や日傘、日焼け止めクリームで完全武装することになりました。夫の趣味でよくスキーや南の島にも出かけるのですが、その際も私は一人ホテルの部屋でゴロゴロ(スキーができるような体力もまだないですが)。

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無菌病棟より愛をこめて
加納朋子・著

定価:本体660円+税 発売日:2014年09月02日

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