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「反日、反日、反日……」それでも韓国ほど面白い国はない

「反日、反日、反日……」それでも韓国ほど面白い国はない

文:黒田 勝弘 (産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

『決定版 どうしても“日本離れ”できない韓国』 (黒田勝弘 著)


ジャンル : #政治・経済・ビジネス

 今は韓国人の日本訪問はノービザになっているが、以前はビザの頼み事が実に多かった。最近も、さる財閥の元会長から国際行事にからんで日本訪問ビザを頼まれた。日本政府は前科者には原則として入国をさせないからだ。元会長は前科があるが何とかならないか、というのだ。

 韓国の財閥領袖はサムスン、現代を含めほとんどが経済事犯や不法政治献金などで前科者だ。サムスンの会長も先年、日本入国で苦労している。結局、大使館首脳につないで書類を整え本国審査で何とかなった。元会長は日本政府の厳しい入国規定にいたくご不満で、その愚痴を大使館になり代わってひとしきり聞かされた。

米国カリフォルニア州グレンデールに建立された慰安婦像。

 産経新聞は近年、歴史認識で韓国と対立する局面が多いので、事務所への脅迫やデモなど抗議もにぎやかだ。筆者には過去、テロ予告みたいな脅しも何回かあり、地元警察から「身辺警護しましょうか」といわれたことさえある。日本メディアが外国でこんなに関心をもたれる国なんて韓国しかない。迷惑な反面、どこか嬉しかったり(?)もする。

 筆者の後任の産経新聞支局長の大統領にかかわる名誉毀損事件も、したがって韓国ならではのものである。日本メディアの報道を大統領以下こんなに気にしてくれる国は韓国しかない。これも一面ではありがたい話なのだが、一方では「そんなことをしたんじゃ国際的に韓国の評判はガタ落ちするのに……」と同情(?)までしてしまう。

 新著ではこんな風景をふくめ日本にとって「いまだ切ない韓国」の最新事情を書いた。前著『“日本離れ”できない韓国』から約10年経ち、大幅に内容をアップデートした。10年1日のごとく反日が盛り上がり続けているのは、ひとえに韓国が「日本離れ」できないからである。

 はたして韓国が日本離れする日は来るのだろうか?

 ただ、筆者には「韓国が日本離れすれば寂しいなあ」という思いもどこかにある。そうなれば韓国撤収だが、まだ展望は明らかでない。当分、馴れ合い(?)で反日を楽しむことになりそうだ。

黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

黒田勝弘

1941年、大阪生まれ。1964年、京都大学経済学部を卒業後、共同通信社に入社。1978年、韓国・延世大学留学後、共同通信ソウル支局長に。1989年~2011年、産経新聞ソウル支局長兼論説委員。1992年、ボーン・上田記念国際記者賞、2005年には菊池寛賞および日本記者クラブ賞を受賞。現在、産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『韓国 反日感情の正体』(角川ワンテーマ21)ほか多数。

文春新書
決定版どうしても“日本離れ”できない韓国
黒田勝弘

定価:858円(税込)発売日:2015年10月20日

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