女優の母との熾烈な半生を描いた小川雅代さんと、祖父母の代から創作者一家のしまおさんが語る、「家族について書く」時の気持ち。
《写真右》小川雅代 女優・小川真由美と昨年亡くなった俳優・細川俊之の一人娘。モデルや女優としての活動を経て、現在はバンドJETT SETTで活動中
《写真左》しまおまほ マンガ『女子高生ゴリコ』で単行本デビュー。『死の棘』の島尾敏雄を祖父に、写真家を父母に持つ。近著は『ガールフレンド』
しまお この本を書くきっかけはなんだったんですか?
小川 前から、まわりの人にちょっと母のエピソードを言ったりすると、「何かの形で絶対残したほうがいいよ」っていうふうに言われることが多くて。
しまお 本の中にも書かれていましたね。
小川 あと、自分の中でも整理がつくと思って。素人ですし、自分一人で書いててもなかなかうまくいかなくて、なんかこう感情的になっちゃうんですよね。夜に一人>で書いているとどんどん落ち込んでくるので、これはやめよう! と思って。で、今回、十年ぶりぐらいに書いたんですよ。
しまお お父さま(細川俊之)が亡くなったことも書かれているから、最近のことまで書いているんだなあと思って。
小川 もっと後のことも書いていたんですけど、きりがないんで、あそこでストップしてあるんです。
しまお まだ書くことありそうですねえ。なんか、ちょっと笑ってしまうところがけっこうあって。お母さまのエピソードも、その場は大変だったんだろうな、ということも面白い。雅代さんに、「寄り目して、舌出して」みたいな演技指導をしたところとか、すご~い! と思って(笑)。
小川 ありがとうございます。
しまお でも、すごいピュアで、すごい女優だったんだな、とも思いました。お母さまの感じが「ああ、こういう人なんだろうな」というのが、手に取るように分かりました。
小川 嬉しいです、しまおさんにそう言ってもらえると。
しまお 私は、お母さまをうちの父の母(島尾ミホ)とすごく重ね合わせて見たところがあって。うちのおばあさんもすごい変わっている人なんですよ。
小川 奄美大島の。
しまお そうです。一回父(写真家の島尾伸三)が自分のことを書いたのを読んで怒って、父に誓約書書かせたりしてました。「もう二度と親の悪口は書きません」と。おばあさんはお金の使い方でも、細かいところではケチなのに、とんでもないところで損しているような使いかたをしたりする人なんです。傍から見るとすごく矛盾しているけど、彼女の中ではすごい筋が通ってるし、確固たる自信を持ってた。だから、うちのおばあさんも女優だったら、お母さまのようになったのかもしれないな、と思いましたね。
小川 お父さまも大変でしたね(笑)。
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