しまお お父さまの話なんですけど、「としちゃん」て文字の形のバッジをつけて(小川真由美の)舞台を見に現れたっていう(笑)。あれ、すごく面白かった。
小川 面白いですよね。
しまお 可愛いというか、なんか思い浮かぶ。よくおみやげ屋さんとかに昔売っていたやつですよね。丸文字っぽい。
小川 はい。男の子、女の子で青とピンクにしてある。
しまお 雅代さんが17歳の時に、一度、3人でご飯を食べてますね。「3人で食事したい」ってちゃんと言える雅代さんは偉いなあ、と思って。
小川 そうですか?
しまお うん。反抗し続けないでそういうのもちゃんとやってみるところが。私だったらたぶん、恥ずかしいし、実現したらどうしよう? とか思っちゃうな(笑)。
小川 実現しないほうが気楽かもしれないですもんね(笑)。
しまお うん。今のままナアナアでいったほうが、とか思っちゃいそう。そういう思い出が所々にあるのがいいなあ、と思いました。偉いなあ、というか。
小川 たまたまタイミングもよかったんでしょうけどね。
しまお それを実現させる気持ちがお父さまにもお母さまにもあったというのも……。
小川 それはありがたかったです。あの1回だったから、またよかったのかもしれないですね。あれが恒例になっていったら、また喧嘩が始まっていたかも(笑)。
しまお この本を私は、普通の女の子に起きた、少し特殊な出来事っていうふうに読みましたけど。……私が取材されるとき、時々「変わった家庭」という結論に持っていこうとする人がいて、「私、普通の話を書いているつもりだったのになあ」とか思うときがあるんです。この本も、「こんなに変なんですよ」って大げさに書くのではなく淡々としているから、スーッと入ってきやすいと思いました。
小川 読み方は読み手の自由なんですけど、そういうふうに読んでいただければ本望です。
しまお あんまり深刻にとられすぎないといいですね。
小川 心配な面もありますけど、しまおさんがそう言ってくれたのは心強いです。もし何か悪いことが今後あっても、今日のことを思い出せば頑張れそうです。
しまお 虐待とか、それで精神を崩したりっていう話は、別にお母さんが女優でも専業主婦でも関係ない、誰にも当てはまる話だと思うんですね。中学生とかも読めるような環境に本が置かれるといいですよね。学校の図書館とかにあってもいいんじゃないかなと思いましたけど。
小川 そうなると本当に嬉しいですね。
しまお 読んで救われる人がいると思いますよ。興味本位で読む人もいるだろうけど。
小川 一人でもそういう人がいたら、こちらこそ救われます。