義太夫の発声を実際に体験してみたら!?
続いて呂太夫さんによる「発声教室」は、まずは準備運動から入ります。息を大きく吸って、吐いてというだけで、身体が芯から温まっていくような不思議な感触です。さらに「出尻(でっちり)、鳩胸」という発声のポーズを習ってから、いよいよ発声練習は、近松半二の『傾城阿波の鳴門』巡礼歌の段の有名な「父さんの名は十郎兵衛 母さんはお弓と申します」というセリフからはじまりました。

師匠によれば、大きな声を出すのは初めは恥ずかしがっていても、だんだんと無心に繰り返していくうちに、皆さんどんどん恥ずかしさが失せて、素直な童心にかえっていくということで、ご自身はそうなると「小学校の先生のような気分」になるのだとか。
呂太夫師匠のお弟子さんで、やはり現役の太夫である亘太夫さんが、お手本の発声を披露し、参加者の方々がそれに続いていきます。発声教室に通われて一年が経つ、大島さんの発声は堂々たるもので、師匠からのお褒めの言葉もいただきました。
さらに、発声教室のもうひとつのお題は『絵本太閤記』の武智光秀(明智光秀)が、真柴久吉(羽柴秀吉)に向かって発した、「さすがの久吉よく言ったアり」というセリフ。こちらは「ア」の発声が独特で、口の開き方、節のつけ方と、呂太夫師匠の指導も身振り手振りで熱がどんどん入りました。
