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対談 突き詰める現代詩、触発される歌詞<特集 ことばは今どこにあるか?>

対談 突き詰める現代詩、触発される歌詞<特集 ことばは今どこにあるか?>

伊藤比呂美 ,町田 康

文學界12月号

出典 : #文學界

「文學界 12月号」(文藝春秋 編)

 伊藤 「リスペクト」とか「リベンジ」とか「チャレンジ」とかもそうですよね。リスペクトなんて「尊重」「尊敬」って言えばいいじゃん、って思ってたんですが、どうもちょっとニュアンスが違う。他に表現する言葉がないから、英語を使っているのかなって。

 町田 そういう意味では、現実も相当演劇化しているのかも。演劇というか、頑張って演じてます感というか。内実が伴っていない感じ。でも、平安時代以降の日本語って、そうやって変わってきたわけだから、ある意味では伝統に則ったものとも言えるかもしれないですね。新しい言葉が、長く使われていくうちに内実が伴っていくことって、これまでも多々あったわけで。だから、どんなに空疎な演劇をやっているように見えても、やがては内実が生まれてくるのかもしれない。パンクロックもそうだし、日本の現代詩も小説も、最初は演劇だったのでは。自分らの歴史とか伝統にない新しい表現を目の当たりにして、「あんなのやったらカッコええんちゃうか」って真似して、やり続けて、今があるんじゃないですかね。

【次ページ 一行と一行の狭間で】

文學界 12月号

2019年12月号 / 11月7日発売
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