『はんぶんのユウジと』(壇 蜜 著)

――そうなんだ(笑)。

 壇蜜 ただ、リカは会計もせずに出ていっちゃいましたけど、私はたぶん男を捨てる時は会計ぐらいはしますね。

――壇蜜さんは『日記』で、〈何故書くのか……お金とファンのため〉(『壇蜜日記3』あとがき)と記しています。小説の執筆もやはり仕事ですか?

 壇蜜 完全に仕事です。ただ、撮影のように、周りの多くの方が段取りを整えてくださる仕事とは違って、ゼロから「どうぞ」って言われる仕事は、今回の小説が初めてですね。

――とはいえ、正直にいえば小説の仕事は、タレントとしての仕事に比べると割が悪いでしょう。もちろん、ベストセラーになればたくさんお金が入るけれど、原稿料は高くないし、三千部、五千部の壁もある。それでもやろうと思ったのはなぜですか?

 壇蜜 タレントとしてはまだまだ不安定ではありますけど、昔よりは不安定じゃない。そういう土台がなければ小説はできないと思います。頭も時間も人も使うし、その割にもらえるお金というのは寂しいものがありますから。でも、タレントとしての時間以外に「損」をしてみないと、分からないこともいっぱいあると思うんです。

文學界 12月号

2019年12月号 / 11月7日発売
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