- 2019.12.07
- 書評
前代未聞の1万字解説! 「苛烈で、繊細で、孤独で、その瞬間、一人だけ共にいた」
文:小林直己 (EXILE/三代目J SOUL BROTHERS)
『主君 井伊の赤鬼・直政伝』(高殿 円 著)
「もっとEXILEになった方がいい」。これは僕がEXILEに中途加入し、三年目にリーダーのEXILE HIROから言われた言葉である。
EXILEは、音楽グループというだけではなく、ひとつの生き方であり、その想いを次代に継承し、自分たちが信じるやり方で社会に貢献していくために、二〇〇九年に一回り下の世代である七人のメンバーを増やした。EXILEの想いを永遠につないでいくために。そして、十四人での活動が始まり、三年目を終えた年明けに、ボーカルのEXILE ATSUSHIから提案があった。「もっとこのグループを活かすために、個人の夢を教えて欲しい。それを叶えるのがグループであり、また、グループの未来への力になる」。一人一人が個人の目標や夢を語る中、僕はこう答えた。「皆さんに言えるような夢は、ありません」。かたや、歌の力で人の病気を治したいと本気で考えているメンバーに肩を並べて、胸を張って答えられるような夢は一つもなかった。そこで、HIROから言われたのがこの言葉である。
「覚悟を決めた方がいい」。この言葉はそう言い換えられると僕は理解している。当たり前の話だが、人生に、生きる意味なんてもともと備わってはいない。その中で人は、自ら生きる意味を見出し、時にそれを理由にし、言い訳にして生きていくのだ。この与えられた環境で、この人生で、自分は何をしていくのか、何ができるのか、何をやりたくて、何をやりたくないのか。自問自答を繰り返し、生と死に挟まれたタイムリミットを意識する。そして考えた。「EXILEとして何ができるのか」。僕はこう言い換えた。「かっこ悪い生き方はしたくない」。「ならば世界一にならないと認められない」。突拍子もないが、自分にとってのEXILEの生き方は、そういうものだった。
環境や立場によって、自分でも驚くべき変化が起こることがある。そして、巡り合った人に引っ張られ、時に人を引っ張り、予想もしないほど遠くまで来てしまうこともある。そして、受け入れるのだ――「これは自分の天命である」と。そこには、自らと向き合い、信じるための胆力が必要になる。それは、覚悟とも言い換えられる。
──続きは『主君 井伊の赤鬼・直政伝』でお楽しみください。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。