- 2019.12.13
- レポート
八咫烏シリーズ、キャラクター人気投票結果発表! 1位の票数に阿部さん「マジか……」#2
《阿部智里展 トーク&サイン会 対談全篇公開》
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#エンタメ・ミステリ
萩原 ディスカッションさせる? そうすると勝手に。
阿部 勝手に話し始めます。このやり方がちょっと特殊すぎるって場合には、そのキャラクターが本当に大切なものは何だろうってところから始めると良いと思いますね。誰しも、自覚している、していないにかかわらず、譲れない何かがあると私は思ってるんですよ。自分たちが自覚していなかったけど、何か大きな事件が起こった時に初めて「あ、私が本当に大切だったのはこれだったんだ」って気付くものがあると思うんですね。それを作者特権というか、作中の人物からすると神様である私がちょっと干渉して、最初にこいつの一番大切なものは何なんだろうってところを見つけるんです。
そしたらただそれを前面に出すことはせず、一番大切なものの周囲を、こてを使うようにして彼や彼女にとって二番目、三番目に大切なもので塗りかためて行く。そうすると、傍目には普通の人間のように見えるキャラクターが出来る。でもそれぞれ持ってる核の部分が違うから、作品で動かしていくとずれが出てきて、それがある意味物語を形作って面白くなって行くんですよね。
だからキャラメイキングの方法としては、ディスカッション形式と、その人の核を見つけるっていう二つが答えになるかな。
萩原 この質問者の方いらっしゃってます? これ絶対使えると思う。今の質問でいけるね。
阿部 ディスカッション、慣れてくると結構楽しいですよ。私、最近それが行き過ぎてしまって。皆さんテーブルゲームの「人狼」って知ってますか? 嘘つきを見つけるゲームなんですけど、あまりに現実逃避しすぎて、登場人物たちを脳内に集めて彼らに「人狼」をやらせてる。
(場内笑い)
萩原 なんですそれ。凄いですね。作者の方が質問やって、答えてって登場人物たちが脳内でディスカッション始めた時に、作者の側から「ちょっとそれ嘘じゃないの」ってなる、そういうケースもあるんだ?
阿部 ディスカッションの最中ですか?
萩原 嘘でしょう、ってことは無い?
阿部 嘘をついたら、嘘をついたってこと自体がキャラ形成に繋がりますから。じゃあなんでこいつはそう言ったんだって考えていきます。そうすると、彼にとって二番目の大切なものにたどり着いたりするので。それにこれ、原稿にするんじゃなくて頭の中でキャラを形成する段階の話なので、整合性がとれてなくても問題ないんですよ。いきなりディスカッションを皆さんにお見せするなら、矛盾とか、ブレとか、色々考えなくちゃいけないんですけどね。そうじゃなくて、書く前の段階でどういうふうにやったらいいだろうかって、自分の脳内のことなので、結構自由にやらせてます。
萩原 面白いねえ。