質問2　阿部先生は山内の世界の風景を現実の世界の風景から参考にすることはありますか？

阿部　これは大量にありますね。

萩原　大量にある。

阿部　はい。最近面白かったのは、分かりやすいかなって「中国の山水画のよう」と山内を描写しちゃったんですけど。根本的にそのイメージが何処から来たのかなって考えたら、赤城とか妙義とか榛名とか小さいころ実際に行った所なんですよ。

　ああいう所にある奇岩って、人間からすると、ただ変な形した岩だなって思うだけですけど、烏くらいの体の大きさだったら、きっともっと大きく見えると思うんですよ。私は赤城山の幼稚園で育ったので、やっぱり幼少期の記憶って大事だなって思いますね。

萩原　ああ、なるほど。大きいです。

阿部　あと、この間実際に行って、ここは私の思う山内の空気があるなってすごく思ったのは高千穂です。高千穂は初めて行ったのですが、私が思い描いていた山内の空気そのもので、あれは面白かったです。なるほどと思って。

　他にも色んな所行ってみました。花街とかは、台湾の九份。あれはちょっと異質な感じを出したかったんで敢えて外国から採ったんですけど。あとは楽しかったのは東京の雅叙園、百段階段とかも、結構参考にさせてもらったりとかしました。

萩原　インスタントカメラみたいなものを持っていく？　いかない？

阿部　私写真撮るの下手なんですよ……。

萩原　あ、そう。

阿部　写真撮るのに汲々とするよりも、見た時の感動だとかその時思い浮かんだ言葉の方が結構大事で。一時期、写真撮るのに必死だったんですけど、写真撮って満足しちゃったんで。途中から、まずは落ち着いてそこを楽しんで、余力があったら写真を撮るくらいにしてますね。

#3へ続く