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八咫烏シリーズ、キャラクター人気投票結果発表! 1位の票数に阿部さん「マジか……」#3

《阿部智里展 トーク&サイン会 対談全篇公開》

#2より続く


質問3 勁草院に関する用語。学年を表す、荳兒、草牙、貞木、試験を表す草試、霜試、嵐試の言葉が平安時代の男社会と言う感じで素敵です。山内の古文書が出典という設定ですが、阿部先生の造語ですか。何か参考にされた古典はあるのでしょうか?

阿部 これ非常に良い質問だと思うんですけど、これって創作と実際にある古典が混じってるんです。皆さん聞いたことがある方もいらっしゃるかと思うんですけど「疾風に勁草を知る」、つまり強い風が吹いた時に強い草は倒れないから困難があった時こそ本当に強い人間が分かるっていうことわざなんですけど。これはもともと『後漢書』にある言葉でして、実際の古典にある話なんです。でも山内は、もうネタバレ気にせず言っちゃいますと、現実の人間世界と繋がってる異世界なので、外界と、つまり人間の世界と八咫烏たちの世界と文化的交流があるんですね。そこで、昔々に人間の世界から山内の世界に伝わったものが色々と書き換えられて「荒嵐に泰山を見る」って言葉が付加されまして。「厳霜に貞木を知る」までも確か『後漢書』だったと思います。最終的には「疾風に勁草を知り、厳霜に貞木を知り、荒嵐に泰山を見る」っていう言い方になってるんですけども。これは途中までは実際にある古典から取っていて、最後の一文だけは山内で付け加えられたものという、創作が入っています。風に強い草を知り、厳しい霜が降りた時に強い木を知り、嵐が来た時に崩れない山を見るみたいな。まずは豆だった子供たちが、芽が出て草になり、木になり、山になる。それぞれの試験も、疾風に勁草を知るから「風試」。次に霜が降りるから「霜試」。次に嵐が起きるから「嵐試」。で、それを越えられた八咫烏が初めて山内衆という近衛集団のエリートになれる。そういう設定で創ったって感じになります。

 だから、八咫烏シリーズはそういった人間世界との文化的交流があるっていう設定によって、矛盾なく異世界に古典を取り入れることが出来たんですね。私がデビューしたての頃、「これ異世界ファンタジーのくせに中途半端に人間の世界が混じってる」って言われたんですけど、その時私はしめしめって思ってました。いずれちゃんと設定があるってことを見せてあげるからって(笑)

萩原 最初が風で最後が嵐っていうのがいかにも前橋だよね。赤城おろしだよっていう気がしましたけどね。

阿部 そう。「雷と空っ風」ね。私、風が大好きなんですよ。風が吹いてるとアイデアが湧きやすいんですよね。

萩原 やっぱりね、ちょっとそう。これから作家になる方は、風の強い日に書いてみたら。

阿部 あ、雷も好きです!

萩原 雷もね。

阿部 小さいころ雷苦手って思い込んでたんですけど、よく考えると雷鳴ってる時も怖がってたんじゃなくて、はしゃいでたんですよね。実際、すごく怖いものだから絶対そこは間違っちゃいけないんだけど。安全なお部屋の中で、家の電気を消して、窓開いて、ずっと寝るまで雷見てたりとかも結構してました。

萩原 これも作家の秘密だね。

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