インタビューほか

火災焼失した首里城で松本清張賞作家が考えたこと(2)

川越 宗一

2019年11月24日、琉球史家であり浦添市立図書館の上里隆史館長の企画で、松本清張賞作家の滝沢志郎氏(第24回受賞)と川越宗一氏(第25回受賞)のトークショーが実現。火災に見舞われて約一月後の首里城をも訪れることになった。滝沢氏に続き、川越氏によるレポート第2弾。

『天地に燦たり』の着想を得られた「守礼之門」は健在

沖縄でつながった不思議な縁に導かれて

 過日、トークイベントに招かれて沖縄へ行った。琉球史研究家で、いまは沖縄は浦添市で図書館長を務めておられる上里隆史さんからのお招きによる。

 ぼくは『天地に燦たり』という歴史小説で松本清張賞という賞をいただいて、小説を書いて対価をもらえる立場になった。『天地に燦たり』は終盤で沖縄と首里城が舞台になるため、上里さんの『琉日戦争一六〇九』という著作をたいへん参考にさせていただいていた。奇遇(ぼくにとってだが)にも、出身賞の1年先輩である滝沢志郎さんが、上里さんと旧知の仲であるという不思議なご縁があり、上里さんが「松本清張賞作家、沖縄を語る」というイベントを企画された。ぼくは滝沢さんを一方的に慕っていて、また上里さんを一方的に尊敬していたから、断る理由はなにもなかった。

軽便鉄道線路跡の煉瓦造りの橋脚と、熱心に説明を読む川越宗一氏(滝沢志郎氏撮影)

 11月下旬、訪れた沖縄は暑かった。冬目前の時期であることを忘れて、ぼくは半袖Tシャツ一枚でウロウロしていた。

 着いた翌日、上里さんと滝沢さんで焼肉屋さんへ行った。イベントの成功を厳粛に誓い合ったのち、沖縄が誇るブランド牛「もとぶ牛」を堪能した。「牛に貴賎なし、人に感じる心あり」というのは本稿を書きながら、つまり後から作ったぼくの持論だが、ともかくたいへんおいしかった。その中休みで注文したサラダには、もずくが和えられていた。焼肉の場では初めて(ぼくは初めてだった)お目にかかる食材に戸惑いながら口にしたとたん、瞠目した。清冽な食感が、ややもすれば肉の脂に飽いたぼくの体を心地よく洗い、光のように去っていく。快感としか言いようがなく、旅は出会いであるとほとほと感じ入った。

【次ページ 数々の困難のたびに立ち上がったのは、ここに住む人々だ】

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