朝鮮半島と日本列島は同じような緯度に位置し、双方とも国土の大半を温帯が占めている。それにもかかわらず、日本列島には草原の環境が目立ち、各地に馬産地ができたのに対し、朝鮮半島はそうならなかった。なぜなのだろう。
最大の原因は、火山の有無だと思われる。千年単位で続く草原的な環境が日本列島の各地にみえるが、その多くは火山活動に由来する「火山性草原」やシラス台地である。
火山のまわりに草原ができやすい第一の要因は、土壌の薄さにある。巨大な噴火によって死滅した植物が回復するのは、火砕流、溶岩が固まった岩石の上に土が堆積したあとだ。ほかの場所に比べて土壌の厚さが不足しているので、樹木が根をはり、十分な水分、栄養分を得ることは難しい。
もうひとつの要因は、透水性(水の通りやすさ)によって説明される。火砕流を基盤として形成される土地は、透水性が高く、雨水は地下深くに移動する。そのため、樹木が十分な水を得て成長することができない。
日本列島でみられる草原の、もうひとつの代表例が「氾濫原(はんらんげん)草原」である。
日本列島は台風、集中豪雨などまとまった雨が多いうえ、火山活動やプレートの運動による圧力によって、急傾斜の山がたくさんできている。そのため、流域の安定しない急流の川が多い。河川の氾濫は樹木が育つことを阻害するため、治水技術のない時代には、現在よりはるかに多くの草地が河川に沿って広がっていたことがわかっている。
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