![実験としての批評──村上春樹、中上健次、柄谷行人 <講演 「近代文学の終り」再考>](https://b-bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/f/d/1500wm/img_fdbfe4d37d20565f0c082c3b451fdfe4162541.jpg)
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今この場にいる人たちの中で韓国文学に関心のある人はおそらくほとんどいないでしょう。韓国からやって来た文学批評家としてはとても不慣れな場所ですが、だからといってみなさんを恨むつもりはありません。私も東南アジア文学に関心がありますが、実際に読んだ作品はほとんどないからです。もちろん最近日本でも変化の兆しが見えているようでもあります。それを実感したのは、最近の『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳、筑摩書房、二〇一八)に代表される韓国の女性文学について質問されたときです。
実際に書店に立ち寄ってみると、いちばん目につく場所に置かれていました。ところが『反日種族主義 日韓危機の根源』(李栄薫編著、文藝春秋、二〇一九)も目についたのです。もちろんこのふたつの間には何の関係もない。しかしどちらも韓国だけでなく日本でも同じように歓迎されているという点をみるとき、時代精神という観点からどんな形であれ結びついているのでしょう。しかしいまこの場はそれについて話す席ではないので、スキップすることにします。
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