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命は大事。だから死刑――「命の大事さを一番知っているのは遺族」

命は大事。だから死刑――「命の大事さを一番知っているのは遺族」

上谷 さくら

『死刑賛成弁護士』(犯罪被害者支援弁護士フォーラム)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『死刑賛成弁護士』(犯罪被害者支援弁護士フォーラム)

「殺したがるバカども」ではない

 日弁連は2016年10月、福井市で開かれた人権擁護大会で「2020年までに死刑制度の廃止を目指す」という宣言案を採択しました。採決はその大会に出席した弁護士だけで行われ、賛成546人、反対96人、棄権144人でした。しかし、2016年時点の弁護士数は3万7680人(日本弁護士連合会『弁護士白書2019年版』より)もいるのです。つまり、日弁連は死刑制度の是非という、被害者遺族と被害者支援をする弁護士にとって極めて重要な問題について、3万7680人中546人というたった1.4%の弁護士の賛成で「死刑廃止を目指す」ことに決めてしまいました。

 この人権擁護大会では、作家で宗教家の瀬戸内寂聴さんがビデオレターでメッセージを寄せています。寂聴さんはそのなかで、死刑制度を批判したうえ、死刑廃止を訴える日弁連を激励する意味で、「殺したがるバカどもと戦ってください」と述べました。その後、被害者遺族らから猛烈な批判を浴びた寂聴さんは、朝日新聞に連載中のエッセーで謝罪したものの、メッセージは「今もなお死刑制度を続けている国家や、現政府に対してのものだった」として自分の発言を正当化しました。

 しかし、これは巧妙に言い逃れをしているとしか言えません。

 なぜかというと、日本では、仇討ちは認められていないからです。だからこそ、国家が被害者遺族に代わって死刑を執行しているわけですから、「死刑制度を続けている国家や現政府」を「殺したがるバカども」と言うのであれば、それはまさに被害者遺族に向けられた言葉であることを意味します。

死刑賛成弁護士
犯罪被害者支援弁護士フォーラム

定価:本体880円+税発売日:2020年07月20日

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