情報過多社会ならではの悩み
松山 今は情報過多の時代ですから、不安も大きくなりやすいと思います。私には小さい娘が2人いるのですが、妊娠中、妻がとにかくGoogle先生を頼りにしていて。ネットには出産に関してめちゃくちゃ怖いこと、最悪のケースについて色々と書いてあるから、どんどん不安が膨らんでしまう。情報によって不安があおられてしまうんですね。情報社会の中で、いかにそれらと付き合っていくか。これはすごく大事なことだと思います。
小川 仰る通りだと思います。ですが、そういう考え方をできる人は少ないですよね。
松山 情報を得るだけで満足してしまう、他人の評価をものすごく気にしてしまう、そういう方が増えているなと思います。そしてレコメンド機能にすごく左右されやすくなっている。私もAmazonで買い物をするとき、「これを買った人はこれも買ってます」「この本を買ったら次はこれ」なんていうサジェストについ従ってしまい、気がついたらカゴがいっぱいになっていることが結構あって。私たちは、提案してもらうことに慣れてしまっているんですよね。
食べログなどの評価機能にも同じことが言えると思います。例えば、退蔵院にはお茶席があって、そこではお抹茶とお菓子を出しています。それが食べログにも載っていて、ラーメン屋やイタリアンレストランと並べて点数が付けられているわけです。「いや、比べられへんやろ!」と(笑)。垂直的にランキングされてるんですよね。私たちは、スコアリングとかアルゴリズムに知らないうちに毒されてるんだと思います。自分で決める力、自分のセンスに自信を持つ力が、社会全体で弱まっていると感じます。
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