小川 全国でそういう動きがある……というわけでもなさそうですね。
松山 お寺によると思います。個人的に、こういった新しい取り組みに関しては、50歳から55歳ぐらいに壁があるなと思っていて。もちろん一概には言えませんが、体感としてそれ以上の年齢の方には、今まで通りのお葬式、仏教のあり方でまっとうできると思っている方も多いように感じます。でも私たちの世代は、それでは絶対に無理だとわかっていて。社会情勢や、人々の気持ちの変化に合わせて、私たち宗教家自身が変われるか、というところがすごく重要だと思っています。
小川 そもそも仏教は、時代や地域によって教えの形を変えてきたと思います。例えばインドでやってる仏教と、日本でやってる仏教は、元は一緒でも、形が全然違いますよね。
そういう意味でいうと、コロナは仏教の形を変える、一つのきっかけになるのかなと思います。
松山 そうなると思います。放っておいても変化はあったと思いますが、コロナで一気に加速したというイメージですね。
小川 具体的に、仏教の形がどんな風に変化していくか、イメージはありますか。
松山 これから仏教が活躍する場所は、人生の終末期だと思っています。コロナの時代になって、志村けんさんや岡江久美子さんといった著名な方がお亡くなりになり、世間に衝撃を与えました。コロナにかかり入院すると、家族ですらお見舞いに行くことができません。亡くなるときも一緒に付き添えない。すぐに火葬され、遺体に対面することなく、突然ご遺骨で帰ってくる。いわば戦時中みたいなものを目の当たりにしている状況です。多くの人びとにとって、“死ぬ”ということが、とてもリアリティのあることになったと思うんです。
……という指摘から、「人生の最期の日々の充実」について。その日々に「リアル走馬灯」とでもいうべき人生の振り返りや、思い出の共有が実践できないか? その仕組みを整えるには? というアイデアまでたっぷり語り合った90分の対談フルバージョンはコチラの動画でお楽しみください。
https://youtu.be/ZUlultnc9Jo
voicyの「文藝春秋channel」では対談後の小川さんの感想もお聞きいただけます。
ダイジェスト&後日談
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