司会 すごいことをやっているんですね! ここで話を変えまして、コロナウィルスの影響で6月の公開予定がここまで延期となりました。コロナによって、人と人との距離だったり絆が見直されるようになったと思います。本作は血の繋がりを越えた家族の絆の話でもありまして、ここで、皆さんにとって家族とは何なのかをお聞きしたいと思います。
浅田さん、いかがですか?
浅田 「神様からの贈り物」だと思いました。血の繋がりではなく、自分で産んだ子もそうでない養子の子も、神様が決めたことだと思いました。
司会 蒔田さんは?
蒔田 「もう一人の自分」です。自分のことは自分が一番わかっていると思っていたんですが、自分が分からないことも家族は分かってたり理解してくれてたりするので、もう一人の自分だと思います。
司会 深いですね。井浦さんは?
井浦 「生きる」です。こうやって命があることも家族のお陰でもありますし、日々仕事してご飯食べて生きていることも、家族によって生かされている。僕にとって家族は生きる全てだと思っています。
司会 永作さん、どうぞ?
井浦 「仲間」です。家族の中にいると気づかされることが多くて、自分の良いところもそうじゃないところも見えてくる。ひどいことを言ったり、泣いたり怒ったり笑ったりもするけれど、そんな中でいろんなものを一緒に越えてゆく仲間、そして教えてもらえる仲間だと思います。
司会 そして、監督。
河瀬 はい、私にとって家族は「河瀬組」です。私は父と母には育てられず、そして家族が何であるかということをずっと問うてきて、そして8ミリフィルムから始まって、『萌の朱雀』(最初の商業映画)から何かしら自分の作品の中には(家族への)問いがずっとあったんです。今回の作品は辻村深月さんの原作ではありますが、これを作り上げた河瀬組が私の家族です。
司会 永作さん、監督が養女であることがこの映画の演出の根底にあると感じることはありましたか? それとも、あまり感じなかったですか?
永作 最初にこの件でお会いした時に、養女のことは伺いました。そして、これを撮るにあたり自分が大事にしたいのは朝斗の目線だとおっしゃったんです。これは監督じゃなきゃ行きつかない目線なんだろうと思いました。すごく大事なポイントだと思いました。
司会 引き取られるお子さんの目線ですね。
永作 おそらく、自分が経験したであろう、そちら側の目線をみんなに知らせたかったのだと思います。
(フォトセッションのあと)
司会 河瀬監督、最後のご挨拶をお願いします。
河瀬 私たちの人生にはなかったことにしていることや、それからなかったことにされてしまったことが沢山あって、暗い淀みみたいなことが自分の中に存在してしまうこともあるかもしれません。新しい命がどのような形にあったとしても、この世界を美しいと思えるような、そういう場所に、この映画が小さなかけらでいいからなれればいいなと思っています。
どうぞこの映画を見に来てください。本当に皆さんに会いたいです。
*2020年10月6日に行われた記者会見のコメントを編集部で再構成しています。基本的には発言通りに記載していますが、一部削除しているところもあります。()は編集部の注です。
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