- 2021.07.12
- インタビュー・対談
ジャンル不問の異種格闘技戦〈松本清張賞〉に勝ち残る作品とは!? 選考委員・中島京子×史上最年少受賞者・阿部智里
中島 京子 ,阿部 智里
出典 : #オール讀物
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
今年の受賞者は21歳の大学生・波木銅さんの素顔とは?
阿部 実は今回の清張賞を『万事快調〈オール・グリーンズ〉』で受賞された波木銅さんに、私はちょっとだけお目にかかったんです。選考会の翌日、文藝春秋に挨拶にいらっしゃった時、私もたまたま打ち合わせをしていて。
中島 21歳の大学生と聞いていますが、どんな印象でした?
阿部 何よりもお若い、と。
中島 阿部さんが受賞された時のほうが、さらに若かったんでしょう(笑)。
阿部 自分の受賞から十年経っていますからね。作品と年齢は関係ないと分かっているんですが、すでに一世代違う感じがありまして(笑)。今後、私よりもさらに若い世代の方が、新しい視点や違った視点でどんなものを書かれていくのか、すごく楽しみだと感じました。
中島 選考委員をしていると、受賞された方が次にどんなものを書かれるかは非常に気になります。川越宗一さんは2作目の『熱源』で直木賞を、坂上泉さんは『インビジブル』で大藪春彦賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞ということで、想像を上回るご活躍です。阿部さんもデビュー作から続くシリーズで快進撃を続けていらっしゃるし、来年以降の清張賞にもどんどんいい作品が集まってきそうな気がします。
阿部 私や坂上さんと同世代の清張賞作家の額賀澪さん(『ウインドノーツ』で第22回松本清張賞受賞)が、大学で創作の講師をしていて、波木銅さんは額賀さんの教え子でもあると聞きました。
中島 それもすごくいい話ですね。ただ、清張賞は賞金が500万円ですごく高額でしょう。作家が一作品でそれだけを稼ぐのは大変ですから、それが普通だと思ってしまうと今後に差し支えると、要らぬ心配もしています(笑)。阿部さんは500万円の使い道は?
阿部 全部、貯金しました。受賞前はもし賞金をもらえたら何に使うか、あれこれ空想していましたが、両親に「それは取ってから考えなさい」と言われ、受賞後は「貯金一択でしょう」と言われたので、今でも手を付けていません。
中島 それはそれで、何だかものすごく堅実ですね(笑)。
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