激動の戦後を振り返る、文春文庫7月のフェア本(フェアは一部店舗で開催中です)。
太平洋戦争、学生運動、東日本大震災など作家はどのようにとらえたのか。過去を学ぶことで現代を見つめ直す、この夏注目の4冊です。
また文春文庫サイトがリニューアルになりました。新刊・注目本が紹介されてます。こちらもご利用ください。
『インパール』高木俊朗
【太平洋戦争】を考える
太平洋戦争で最も無謀だったといわれるインパール作戦。
昭和19年3月、ビルマから英軍の拠点があったインド北東部・インパールの攻略を目指した日本軍は、この作戦で歴史的敗北を喫した。
「インパールの悲劇」は“日本の東条”とビルマの“小東条”牟田口廉也の握手から始まった――史実に基づいた考証と冷静な筆致と気迫で、涙と憤りなしでは読めない、第一級の戦記文学を復刊!
「何しろわしは、支那事変の導火線になったあの盧溝橋の一発当時、連隊長をしていたんでね。支那事変最初の指揮官だったわしには、大東亜戦争の最後の指揮官でなければばらん責任がある。やるよ、今度のインパールは五十日で陥してみせる」
功名心に気負いたつ軍司令官・牟田口中将の下、いたずらに死んでいった人間の無念。
敗戦後は部下に責任転嫁し、事実の歪曲を押し通した軍人を許すまじ!
本書はその実相を書き、牟田口廉也批判の口火を切った『イムパール』に、著者自ら大幅な改訂を加えた文庫決定版。
『夜の谷を行く』桐野夏生
【1970年代、戦後日本の転機】を考える
あの時、いったい何が起きたのか。
女たちが夢見た「革命」とは何だったのか。
連合赤軍事件の山岳ベースで行われた「総括」と称する凄惨なリンチにより、12人の仲間が次々に死んだ。アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は5年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていたが、ある日突然、元同志から連絡が入り、決別したはずの過去に直面させられる――。
実際に起きた事件を元にした桐野さん渾身の傑作長編小説、待望の文庫化です!
『ムーンナイト・ダイバー』天童荒太
【3.11 未曽有の大震災】を考える
天童さんからオール讀物の通巻1000号記念に原稿をいただく約束をしたのは、映画『悼む人』公開(2015年)の半年ほど前。当初は『悼む人』のスピンアウト的な小説を考えていらしたようですが、2015年春、福島へ取材に行く頃には、ほぼ構想が固まっていました。
3.11で亡くなった人々の遺品回収作業に福島沖で従事する男の話を書きたい――。
取材は線量計を携え、原発の避難指示区域にまで入るものでした。そして見つけた小さな漁港。ここから男が月夜にボートを出すイメージが湧き、この小説が完成したのです。
震災と津波から4年半。深夜に海に潜り被災者らの遺留品を回収する男の前に美しい女が現れ、なぜか遺品を探さないでくれと言う――。
現場取材をしたから書けた著者の新たな代表作。
『バベル』福田和代
【新型ウイルスとの闘い】を考える
新型ウイルスの出現によって、日本中がパニックに――
ある日突然、同棲している恋人が高熱で意識不明の重体となり、救急車で搬送される。彼に付き添い続けた悠希にも、魔の手がしのびより……。
感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術はあるのか? 日本政府はある対策を講じる決断をする。
近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル!
いったんバベルウィルスに感染したら、死ぬまで逃れられない。患者が爆発的に増え、ワクチン開発は間に合わない。
一縷の望みをかけて、日本政府はある秘策を実行した――。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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