購入を決めたものの、「用途に見合ったワインセラーを買えるのか」が第一の関門となりました。
自分で言うのもアホらしいですが、私はかつて、しっかりメジャーで測ってから注文したはずなのに、電子レンジの入り口で引っ掛かる何の役にも立たないオーブン用天板を通販で購入してしまった過去があります。
しかしワインセラーは結構な値段がします。今回ばかりは絶対に間違えられないと気合を入れ、時間を置いて4回苔テラリウムの外径を計測し、紙にどうやって並べるかまで絵を描いて確認した後、ワインセラーの通販サイトの記載情報を目を皿のようにして比較し、16本のワインが入るワインセラーの購入を決めました。
届いた時はドッキドキでしたが、3個の苔テラリウムが無事に収まったのを見た瞬間、「良かった~!!」と思わず声が出ましたね。
ただ、大きさはぴったりで何の問題もなかったのですが、買ってみないと分からなかった問題点もありました。
それは、ライトの弱さです。
通販サイトを見ていた時点で、ワインセラー内部にはライトがついていることを確認していました。これなら、中に苔テラリウムが収まりさえすればスイッチひとつで日照不足も解決するんじゃない? と大いに期待していたわけです。
ところがよくよく考えてみれば、ワインセラーは中のワインを外部の刺激から守るためのもの。当然、中身を変質させてしまうような強い光が発せられるわけがなく、実際に点けてみたライトは、苔を健康に保つにはなんとも心もとない光り具合でした。
かと言って、外からライトを当てるにも限界があり、日照不足を解消するためにしょっちゅう外に出して温度変化に晒すというのも得策とは言えません。
悩んだ結果、プラモデル鑑賞用の充電式小型ライトを購入して、中に置くことにしました。
うっすら、「なんかどんどん大がかりになっていくな~」とは思いましたが、私はぶっちゃけ、一流の苔テラリウム作家の方が、綺麗にライティングした苔テラリウムを並べている様子に憧れがありました。
ここまで来たらとことんまでやったるわ! と、セッティングした結果が、こちらです。
なんか……ちょっと……思ってたんと違う……? と思いました。
あの、私の予想では、もうちょっとラグジュアリーでおしゃんな雰囲気になる予定だったのです。でもこれ、苔テラリウムの展示というよりは、題名「マッドサイエンティストの箱庭」というか、理科の実験中みたいな雰囲気になってしまいましたね……?
理科の実験感に拍車をかけているのが、何故か苔テラリウムと同居しているニンニクの芽とバジルにあるということは分かっているのですが、これについては次回、弁明させて頂ければと思います。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
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