なぜ、人は争わねばならないのか

『海を破る者』(今村翔吾)

弘安四年、夏。博多湾に蒙古軍14万の艨艟(もうどう)が押し寄せた。
日本史上最大の国難――元寇。
そのとき石築地(防塁)の外、波打ち際にあえて陣を張った若き武士がいた。
伊予の没落御家人・河野六郎通有である。

かつて名門として知られた河野家は、いまや一族骨肉の争いに沈み、再興の道は遠い。
伯父と当主の座を争う六郎が、奴隷市で買い受けたのが、西域から流れてきた少女・令那と、高麗から連れてこられた青年・繁だった。

言葉も、信じる神も、肌の色も違う三人。
それでも伊予の家で、血のつながらぬ者たちは奇妙にひとつの「家」を築いていく。
血を分けた一族とは争い、血のつながらぬ相手と心を通わせる――その日々の先に、海の彼方から異形の艦隊が現れる。

河野家は寡兵で、博多湾の砂浜に陣を据えた。
身を守る石築地の「外」に。
退路を断つかのようなその構えは、後世「河野の後築地」と呼ばれ、史実に名を残す。
六郎はなぜ、あえて防塁の外へ出たのか。
神風が吹く、その前に、彼は何を守ろうとしたのか。
家か。国か。それとも、共に生きる者たちの命か。

『イクサガミ』『塞王の楯』の今村翔吾が、元寇、鎌倉時代、博多湾、海戦、異文化との共生を壮大なスケールで描く歴史小説。
「別冊文藝春秋」連載時から話題を呼んだ、著者渾身の歴史長編、待望の文庫化!

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文春文庫 7月のラインナップ

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  • タイトル
    海を破る者
    著者名
    今村翔吾
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    なぜ、人は争わねばならないのか
    伊予・河野家は、一族の内紛により没落していた。かつての名門御家人が、元寇を退ける立役者となるまでを熱く描く歴史大河小説。
  • タイトル
    もっと悪い妻
    著者名
    桐野夏生
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    夫の知らない妻の貌。桐野夏生の最新短篇集
    バンドマンの夫に不満を募らせる妻。夫公認のもと、恋人と思うままに時間を過ごす妻……男の妄想を粉々にする、6つの傑作短篇。
  • タイトル
    緊立ち 警視庁捜査共助課
    著者名
    乃南アサ
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    警察小説の名手が満を持して放つ新警察小説
    超人的記憶力を持つ見当たり捜査官・川東小桃と、わずかな手掛りから被疑者に迫る佐宗燈。どこに逃げても必ず彼女たちが追い詰める!
  • タイトル
    コウノトリとんだ2 近くて遠い背中
    著者名
    藤ノ木優
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    私たちは母と子、二人分の命を守る
    高リスクな状態にもかかわらず頑なに帝王切開を拒絶する妊婦。迫りくる分娩のリミットを前に、新人助産師のまゆが選んだ手段は――。
  • タイトル
    ぼくは青くて透明で
    著者名
    窪美澄
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    少年たちの孤独と愛の物語
    血の繋がらない母と暮らすぼく。実の母も、父も、どこかに行った。そんなぼくは、優等生の彼に出会い、いつしか思いがあふれていく。
  • タイトル
    江戸彩り見立て帖 天地をつなぐ
    著者名
    坂井希久子
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    引きこもりや、夫婦の危機を「色見立て」が救う!
    江戸の天才色見立て師、お彩が活躍する文庫オリジナル人気シリーズ最新刊! いつも笑顔のお春の様子がおかしい。どうやら夫婦の悩みがあるようで……。
  • タイトル
    縁切り榎 江戸切絵図恋暦
    著者名
    野口卓
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    一筋縄ではいかない江戸の男と女。好評シリーズ!
    武家屋敷に行儀見習いで住み込んだ富美を待っていた運命の出会い・非情な結末。愛と裏切り、切なさとしたたかさを描く四つの物語。
  • タイトル
    女王の化粧師2
    著者名
    千花鶏
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    圧倒的世界観を誇る大河ロマン、第二弾!
    主人を女王にすべく、選挙戦に挑むことになった化粧師のダイ。しかし、ダイのもとに最有力候補の令嬢から化粧の依頼が舞い込み――。
  • タイトル
    越境
    著者名
    砂川文次
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    北海道は無法地帯と化した。迫真の軍事小説
    ロシア軍の侵攻を受け、無政府状態になった北海道。陸自「支援飛行隊」のイリキはヘリ墜落から生き延び、北の大地を奥へ奥へと進む。
  • タイトル
    乱世の流儀 室町ワンダーランド
    著者名
    清水克行
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    中世日本人の赤裸々な日常と非日常
    ご先祖さまたちは室町の世をどう生きたのか。気鋭の歴史学者が、現代社会と遠い日々を往復しながら綴る歴史エッセイ。『黒牢城』の著者・米澤穂信さんとの特別対談を収録。
  • タイトル
    小川洋子が読みとく『アンネの日記』 NHK「100分de名著」ブックス編
    著者名
    小川洋子
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    作家になった原点は『アンネの日記』だった
    第二次世界大戦下、ユダヤ人少女アンネは隠れ家で日記を綴った。戦後、大ベストセラーとなった世界記憶遺産の魅力に、小川洋子が迫る。
  • タイトル
    遠謀 血の絆 密命(十四)決定版
    著者名
    佐伯泰英
    発売日
    2026/07/07
    作品紹介
    密命に生きる浪人、惣三郎の末娘が消えた!
    ある日突然、姿を消した次女・結衣を追って東海道をひた走る金杉惣三郎。やがて我が娘は父をめぐる大きな陰謀に巻き込まれたと知る。