『銀漢の賦』原作ドラマ・NHK木曜時代劇「風の峠~銀漢の賦」(午後8時より)が高評を得ている。著者の葉室麟さんと主人公・源五演ずる中村雅俊さんとで語る“中年の青春”とは。
葉室 中村さんのご活躍は、デビュー時からずっと見ていました。というのは、僕らはまったくの同い年。中村さんが大河ドラマ『花神』で演じた高杉晋作がとても印象に残っています。高杉好きとしては、同い年の方が演じていると、自分が高杉晋作になったかのような幸せを感じていました(笑)。
中村 それは嬉しいです。同い年とは奇遇ですね。
葉室 昭和26年の早生まれで、誕生日も1週間ほどの違いです。勝手に親近感を抱いていました。
中村 誕生日もそんなに近いんですか。人生で見てきた景色が、全部同じだと思います。
葉室 これでも学生時代はジーパンで下駄を履いていました。弾けもしないギター持って歩いてた。
中村 あら、俺もそんな格好してましたよ。
葉室 たぶん中村さんに影響されていたんじゃないかなと。
中村 下駄だと授業を受けるとき楽でしたよね(笑)。鼻緒の上に足を乗っけていられるから快適。走ったり踊ったりするのは辛いですけど。
葉室 下駄を履いてどこか遠くに旅に出て、旅先から大学に行ったり。それがかっこいいと思っていました。かまやつひろしさんの歌で「下駄を鳴らして奴がくる」という歌詞もあった時代です。
中村 懐かしいですね。あの当時は楽しかったなあ。いまの若い人は仲間意識を大切にしますけど、当時は何か人と違うことをやろうとしていませんでしたか。一匹狼が多かった気がします。
葉室 僕らの世代は団塊の世代のちょっと下じゃないですか。全共闘運動をやっている人たちは、自由そうに見えて意外と縛られていた。だから自分たちは、もっと自由になりたいと考えていたんでしょう。