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迫力と臨場感をもって「死ぬべきいのち」の急所を描いた

迫力と臨場感をもって「死ぬべきいのち」の急所を描いた

文:郷原 宏 (文芸評論家)

『死命』 (薬丸岳 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『死命』(薬丸岳)

 この作家のページターニングの秘密は、どうやらその前歴のなかに隠されているようです。『野性時代』二〇〇九年九月号に掲載された著者インタビューによれば、薬丸氏は少年時代から映画に熱中して名画座に通いつめるうちに、自分も映画の作り手の側に立ちたいと思うようになりました。金子正次氏が自分で脚本を書いて主演した『竜二』を見て俳優を志願し、東京キッドブラザースの入団試験を受けて合格しましたが、ミュージカルは肌に合わなかったらしく、半年ほどで退団しています。

 その後はバーテンダーなどをしながら日本脚本家連盟ライターズスクールでシナリオを学びました。しかし、脚本家としては芽が出なかったので、今度は漫画の原作者を志し、『MANGA オールマン』の佳作に入選したこともありましたが、結局、この道にも行き詰まりを感じるようになりました。

 そんなときに出会ったのが、第四十七回(二〇〇一年)乱歩賞を受賞した高野和明氏の『13階段』でした。死刑を扱ったこの作品に衝撃を受けた薬丸氏は、今度は作家を目指して小説を書き始めます。そして四年後、三十六歳の年に少年法を扱った『天使のナイフ』で乱歩賞を受賞し、念願の作家デビューを果たします。

 薬丸氏のこの作家前史は、私たちに赤川次郎氏や西村京太郎氏を思い出させます。赤川氏は幼年時代に映画館を遊び場にして育ち、小中学生時代は漫画に熱中しました。そして作家としてデビューする直前の一九七五年には、テレビドラマ「非情のライセンス」シリーズのシナリオ募集に入選し、『兇悪の花道』と題して放映されています。

文春文庫
死命
薬丸岳

定価:858円(税込)発売日:2014年11月07日

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