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新しい信長像――そのカリスマと狂気

新しい信長像――そのカリスマと狂気

『王になろうとした男』(伊東 潤)


ジャンル : #歴史・時代小説

高橋 光秀を動かすための勢力、たとえば公家関連の人物がいたように考えていますが、よくはわかりません。しかし、あれだけ用心深い信長が、本能寺の変の一瞬だけ周りに誰も置かなかったのも変ですね。むしろ中国大返しをした秀吉の方が、準備万端に見えてしまうのですが。

本郷 大返しについては、一つ笑い話程度の説を持っています。秀吉はいつも煙草のキセルを手放しませんでした。実はそれで吸っていたのは煙草ではなくて、大麻とかアヘンのようなハイテンションになるような薬物だったのではないかと(笑)。

伊東 本郷さんこそ、すごい大胆ですよ(笑)。

本郷 だから歳をとった時に衰えが早かったともとれる。

伊東 冗談にしても面白いですよ。小説のネタにはできます。

本郷 もしよかったら、使ってください。

高橋 本能寺の変は謎が多いですが、一つだけ確信を持っていえることがあります。光秀の軍勢が本能寺に行ったのは、信長に呼ばれたからなのは間違いありません。あれだけの軍勢を率いて京都に入っていったら、信長が気付かないはずがない。映画やドラマの撮影の時に十騎の騎馬武者を走らせただけでも強烈な音が周囲に響き渡ります。鎧兜に身を包んだ万単位の人間が、静かに本能寺を囲むなんてできるわけがないのです。

伊東 その通りですね。私も鎧を着て武者行列に参加しますから音の大きさについてはよくわかります。

高橋 だから、光秀の行軍には信長の意向があったけれど、なにがしかの理由で豹変して信長自身を襲うことになったと考えたいですね。実は今一番演じてみたいのがその光秀なんですよ(笑)。

本郷 ええっ!

高橋 何故、信長に仕えたか、というところから始まってあれだけの人物が主君を裏切る過程をやってみたい。史料を読む限り、本能寺の変の直前でも光秀は信長に精神的にも押さえつけられている。ですから何らかの手助けや教唆がないと謀反は起こさないと思います。「敵は本能寺にあり」と宣言するまでの光秀の心の動きをいつか表現したいと思っているのです。

伊東 光秀像を変えることになるかもしれませんね。

本郷 それにしても、信長のイメージが強い高橋さんが、光秀役ですか……。その作品で信長役を演じる役者さんを見つけるのが大変そうですね。

王になろうとした男
伊東潤・著

定価:本体660円+税 発売日:2016年03月10日

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