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夢を運ぶ男

夢を運ぶ男

文:夢枕 獏

『空海曼陀羅』 (夢枕獏 編著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #ノンフィクション

「弘法大師空海」(第一巻・五、六話)ジョージ秋山(一九九七年・集英社)

 漫画である。

 そして、ジョージ秋山である。

 もんくありますか。

 本書の話がもちあがった時、

「ぜひジョージ秋山の空海を入れましょう」

 こう言ったのはぼくである。

「え、ジョージ秋山さんが、空海を描いているのですか」

 いるのです。

 それが、今回収録した作品である。

『マンガオールマン』に連載されていたもので、ジョージ秋山は、これ以外にも二宮尊徳のことを、おもしろい宗教色の強い漫画にしている。

 この“空海”の話は、二宮尊徳の話とも通ずるものだ。

 大人の時代の空海のことは、色々な人が描いて(書いて)いるが、少年期についてはほとんどない(と思う)。

 まったく、ジョージ秋山は、いつ何を書くかわからないところが凄いのである。

 

「ミイラ信仰の研究」(抜粋)内藤正敏(一九七四年・大和書房)

 空海が、“水銀をやっていた”というのは、ぼくも、ほぼ間違いないであろうと思っている。

 内藤さんが書いているように、『三教指帰(さんごうしいき)』の中で、

「中国の神仙術の知識を、おどろくべき正確さで述べている」

 し、唐に行ったおりにも、様々なかたちで道教には触れたに違いない。

 空海の死の原因の中には、おそらく水銀中毒というのもあり得るのではないかと思う。

 空海が好きなぼくとしては、そう考えたくはないのだが、状況証拠は多い。

 このようなことが書かれているのも、バランスとして、本書の中に間違いなくあって然るべきであろう。

 

「ブッダの方舟」(はじめに)夢枕獏(一九八九年・河出書房新社)

 中沢新一氏との対談本の最初にぼくが書いたものだ。

 この本、途中から四国の真言僧宮崎信也氏も加わって、なかなかおもしろい体験を、ぼくはさせていただいた。

 わざわざ解説は入れないが、読んでいただければ幸いである。

 

平成十六年二月吉日 小田原にて 

空海曼陀羅
夢枕獏・編著

定価:本体740円+税 発売日:2016年10月07日

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