以上五編、キングらしい恐怖を主眼にし、コンパクトなサイズに収まるように精選しました。本書を入り口に唯一無二の《スティーヴン・キング体験》をお楽しみください。
*1 ちなみに二〇一八年二月四日にTBSで放送されたクイズ番組『東大王』で出題された「20代〜60代の男女 合計1,000人に聞いた『好きな小説家・作家ランキング』」のなかで、スティーヴン・キングはアガサ・クリスティー(15位)に次いで海外作家ではナンバー2(17位)にランクされていました。同番組で紹介された上位三十作家のうち、キングとクリスティー以外の海外作家は22位のJ・K・ローリング(「ハリー・ポッター」シリーズ)のみ。
*2 「ユリイカ 二〇一七年十一月号」は「特集・スティーヴン・キング ホラーの帝王」と題して、巻頭のエッセイと詩を除くと一冊丸ごとスティーヴン・キングのことしか書いていないという充実ぶりです。執筆者は二十七人、特集がはじまるのは二十七ページ。同誌が前回キングを特集したのは一九九〇年十一月号なので二十七年ぶりのキング特集。この「二十七」が何を意味するかは、キングの代表作『IT』をお読みになるとわかります。
*3 「1922」はネブラスカ州の風景が重要なモチーフとなっていますが、ノワール作家ジム・トンプスンはネブラスカと縁の深い作家であること、殺人にいたるオブセッションを一人称で描いていることから、「1922」もジム・トンプスンへのオマージュであるとみることもできそうです。