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歌人・服部真里子インタビュー 短歌にしか築けない世界を作りたい

歌人・服部真里子インタビュー 短歌にしか築けない世界を作りたい

影響を受けた歌会のメンバー

――早稲田短歌会入会以前から短歌に親しんでいた、というわけではないのですね。では大学で短歌に出会い、そこから短歌の世界にどっぷり浸かっていったと。

服部 短歌というより、はじめは歌会に出るのが楽しくて続けていました。私がはじめて参加した歌会には、堂園昌彦さんがいらっしゃって、そこで堂園さんが出した歌が「感情がひとりのものであることをやめない春の遠い水炊き」(『やがて秋茄子へと到る』所収)でした。こういう詩みたいなものでもいいんだと驚いたんですね。

 他にも当時の早稲田短歌会には平岡直子さんや瀬戸夏子さん、望月裕二郎さん、田口綾子さんがいましたし、同時期の京大短歌会にも土岐友浩さん、大森静佳さん、吉岡太朗さんがいた。今ではみなさん歌人として活躍されています。歌会のメンバーが面白くて、歌会に出たくて、短歌を続けていたんです。

――その後、短歌を学んでいく中で影響を受けた歌人などはいますか? 服部さんの作風からは葛原妙子や塚本邦雄といった歌人の名前が思い浮かびます。

服部 そう言っていただいてとても嬉しいです。挙げてくださった名前は、私がつねづね「こんな歌を作りたい。できたらこれを超える歌を作りたい」と思っている二人なので。もちろん影響は受けています。でも、いちばん影響を受けたのは一緒の歌会にいたメンバーからだと思います。影響を受けた歌人はと尋ねられて人が答えるのは「自分がそうありたい」人であって、実際に影響を受けた人とは違うということはよくあるじゃないですか。私にとって、葛原妙子とか早坂類、正岡豊、塚本邦雄といった歌人は「そうありたい」という希望であって、実際に影響を受けたのは早稲田短歌会の人たちですね。すごくすぐれた歌人ばかりでしたし、そのこともまた誇りに思っています。

【Next 自分を表現しようとは思っていない】

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