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〈本が売れない時代〉の作家デビュー──『#電書ハック』配信記念#2

〈本が売れない時代〉の作家デビュー──『#電書ハック』配信記念#2

電子書籍の現在と未来を語る、IT系作家と現役電子書店員座談会


ジャンル : #小説

司会 確かに近年、新人賞受賞作が売れない時代になってきたという実感があります。出版社としても作品を募集して候補作を選び、最後には実作者の先生方に選考をお願いするという新人賞の運営には、かなりの労力とお金がかかります。その新人賞の受賞作が売れない、作家として生き残っていく確率も下がっていくとなると、出版社も困ってしまいます。
現状、若い人ほど小説投稿サイトやネット小説の方へ行く傾向があります。そういう若い書き手に、「なぜ出版社の新人賞に応募しないんですか」と聞くと、みなさん「読んだ人の意見が聞きたいから」と言うんです。
小説投稿サイトでは読んだ人が感想を書き込める欄があるところが多くて、いろいろな人の意見を聞くことができる。新人賞の場合は最終候補に残らないと選考委員の選評にも載りませんので、いくら原稿を送ってもなしのつぶてなのがつらいとみなさん仰います。

柳井 実際、つらかったですね(笑)。最初に松本清張賞の最終候補に残った前後の1年半ほど、ずっとネット小説を書いていました。ネット小説ならリアルタイムで反応がありますから、ずいぶん勉強になりました。それと併行して、出版社の新人賞に応募する原稿を書いていました。

司会 そうなりますと、編集者のプロの部分って何なんだという話にもなってきます(笑)。小説も最終的には買ってくれるのは読者なのだから、ダイレクトに読者の意見を聞けばいいという考え方もあるわけです。

矢部 一時期、携帯小説というのが流行りましたが、あれは不思議な商品でした。出版社さんがどれくらいの部数がはけるか細かく計算してあって、うちにはこのくらい、お隣の本屋さんにはこれくらいというのがピッタリ当たる。売れたから追加をくださいと言っても、「いや必要ないですから」と。確かにその通りに、きちんと売れ行きが止まるんです。
作家と出版社さんとでお客さんの数がはっきり見えていて、読者側ともこういう展開にしようとか、この人は殺さないで生かしておこうとか、密に意見交換していたようでした。
ある日、パタリと終わってしまったブームでしたけど、本屋さんの側からすると、ただ置いておけばいいという非常に有難い商品でした。


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電子書籍
#電書ハック
柳井政和

発売日:2018年11月09日

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  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

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