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電気も水道もない山奥で暮らす老夫婦が、テレビクルーを大いに焦らせた出来事

電気も水道もない山奥で暮らす老夫婦が、テレビクルーを大いに焦らせた出来事

文:佐々木聰

『ふたりの桃源郷』


ジャンル : #ノンフィクション

『ふたりの桃源郷』(佐々木聰 著)

「ズームイン」といえば、日本テレビ系列で長年続く、当時の朝の看板番組だ。子どもたちも見ている。なんとしても、《あの答え》を阻止しようとスタッフは必死だ。

「あぁぁぁ……じいちゃん、言っちゃう……」一番しっかりしなきゃいけないディレクターの僕は、完全に思考が止まってしまった。

 すると……

 

「……うーん……」

 例のごとく、じいちゃんが唸り始めた。

「もうダメだ……」と思った次の瞬間だった。

 じいちゃんはいつもの大真面目な顔ではなく、「ニヤッ」と笑ったかと思うと……

 

「そりゃぁ……『夜』じゃのぅ……」

 

 東京のスタジオ中が、どっと沸いた。福澤さんも大笑いだ。

 僕たちは山口県の山奥でホッと胸を撫で下ろした。

 

 ちなみにこの放送は、コーナーの過去最高視聴率を記録したことを書き添えておきたい。

単行本
ふたりの桃源郷
佐々木聰

定価:1,650円(税込)発売日:2019年10月09日

プレゼント
  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

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