当時はサッカーのワールドカップ日韓大会を間近に控え、日本と韓国が急接近している感触があった。共に現実主義者だった小渕恵三首相と金大中(キムデジュン)大統領との相性も良かった。徐々に世代が変わり、韓流ブームも広がり、このまま関係がよくなるのだろうか、とぼんやり考えてもいた。
その後、2007年1月から2012年1月まで、2015年9月から2019年3月末まで計2回、ソウルに駐在した。思えば、最初の駐在はほとんど北朝鮮の原稿ばかり、2度目の駐在は南北それぞれに振り回された原稿を書いていた記憶がある。
気がつけば、日本と韓国の関係は坂道を転げ落ちるように悪くなっていった。いくつかの原因があると思うのだが、そのうちの1つは、社会的に権威のある人たちが公然と相手の国を非難するようになったからではないかと思う。社会の人々はこうした権力の動きに敏感だ。韓国や日本の現職や元職の政府高官、あるいは政治指導者、専門家と言われる人々が「日本はけしからん」「韓国と断絶しても良い」と主張し始めると、「ああ自分たちも、そう語って良いのだ」と免罪符を得たような気持ちになっているのではないかと思う。
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