韓国でも、日本と同じようにIT化が進む。若い人たちは情報源として、新聞は読まない。新聞どころかテレビも見ない。情報は携帯電話を通じ、ユーチューブやSNSなどから入手する。知人の韓国人の大学教授は「その方が、自分が好きな、関心のある話題が手に入るからね。気に入らない話は見ない。情報が増えれば増えるほど民主化が進むという過去の主張は幻想だったね」と話してくれた。
韓国の国会議員を務めたこともある別の知人は、「世界的な傾向だと思うが」と前置して、こう語った。「韓国の政党はもう国民政党は目指していない。どの党も支持者だけを念頭に置き、支持者が喜ぶ話ばかりをする。スイングボーダーを取り込む考えなんかないんだ。政党が国民の分裂をあおっているんだね」。
本書でも触れていくが、韓国では昔の対立軸は地方だった。東側の慶尚道(キョンサンド)を中心とした嶺南(ヨンナム)地方と、西側の全羅道(チョルラド)を中心にした湖南(ホナム)地方との対立だった。それが今では、世代間の対立や、貧富の格差など、様々な形で分裂や対立が広がっている。
ただ、不幸なことに、1つの点ではまとまっている。知人の韓国メディア幹部は最近自社で行った世論調査の結果を教えてくれた。「興味深い傾向がひとつあったんだけど、みんな、安倍晋三首相が嫌いだって言うんだね」。
この調査に答えた人が、みな日本が嫌いだと答えたわけではない。「好き」と「嫌い」が2割ずつ、残りが「どちらでもない(状況に応じて、好きにも嫌いにもなる)」という回答だった。
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