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韓国に蔓延する「確証偏向症」の正体とは

韓国に蔓延する「確証偏向症」の正体とは

牧野 愛博

『韓国を支配する「空気」の研究』(牧野 愛博)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『韓国を支配する「空気」の研究』(牧野 愛博)

 今回の出張でも、晩秋のソウルで6日の間に50人ほどの知人と会った。そのうちの何人かが、耳慣れない新しい言葉を教えてくれた。「확증편향증(確証偏向症)」。英語で言えば、confirmation bias(確証バイアス)。心理学などで使われる。自分の信念や主張を強く信じる余り、反論に関する情報について目を向けようとしない状況を意味するという。

 私は教えてくれた知人の1人に、「たとえば、どんなこと?」と尋ねた。知人は、こんな話をしてくれた。

 韓国では同年夏に起きた文在寅(ムンジェイン)大統領の側近、曺国(チョグク)法相(2019年10月に辞任)を巡る様々なスキャンダルを契機として、保守と進歩(革新)が激烈に対立した。ソウル中心部、官庁街にあたる光化門(クァンファムン)付近では、保守系が「曺国辞任、文在寅下野」を掲げてデモを展開。南部の検察庁がある地区では、進歩系が「検察改革、曺国死守」を訴える集会を何度も開いた。

 そこで、曺国支援集会を主導していた進歩系実力者がユーチューブで、曺国の妻、チ
ン・ギョンシム東洋(トンヤン)大教授の逮捕を取り上げた。チョンは10月、長女の不正入学や投資を巡る不法行為、さらにはこうした事件の証拠の隠滅など計11の容疑で逮捕された。

 進歩系実力者は、チョンが大学の研究室にあったパソコンのデータを隠そうとした行為についてこう主張した。「あれは証拠隠滅を狙ったのではない。自分の潔白を証明するため、証拠を身近に置いておくための行動だったのだ」。保守系は「馬鹿も休み休み言えと憤るのだが、進歩系は「その通りだ」と頷く。

文春新書
韓国を支配する「空気」の研究
牧野愛博

定価:990円(税込)発売日:2020年01月20日

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