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韓国に蔓延する「確証偏向症」の正体とは

韓国に蔓延する「確証偏向症」の正体とは

牧野 愛博

『韓国を支配する「空気」の研究』(牧野 愛博)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『韓国を支配する「空気」の研究』(牧野 愛博)

 これも、確証バイアスだろう。事実をみて、是々非々に判断するということができない。

 そして、韓国に対して、何をやっても一方的に非難するという論調も相変わらず、勢いを持続させている。ただ、複数の知人の日本の編集者たちは「ほとんどの専門家と呼ばれる人たちは空中戦を演じているだけなのですよ」と語る。日韓関係を伝える報道をみて、勝手に解釈して伝えているだけなのだと。もちろん、そのほとんどは「韓国は失敗する」「日本は立派だ」という結論に流れていく。

 人間社会、そんなに単純なものだろうか。同じ人間であっても、様々な顔がある。私も日韓関係の取材をしていて、よく悩み、立ち止まることがある。事実関係一つ、取材で集めた証言一つで、自分が立てた仮説が揺らいだり、修正を余儀なくされたりすることがよく起きるからだ。

 日本と韓国はお隣同士だが、全く別の国だ。そこに生きる人々の考え方や習慣も違う。同じ事件や問題に対し、韓国人が日本人と全く同じ受け止め方をするとは限らない。

 2019年は、日韓がお互いを傷つけ合った。前年から続いた徴用工判決問題の解決が長引き、日本政府は2019年7月に韓国向け輸出管理規制措置の強化に踏み切った。怒った韓国は8月、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。

 歴史の問題が経済に、経済の問題が安全保障にと、際限なく悪循環の輪が広がった。GSOMIAは11月22日、失効の6時間前に、日韓が輸出措置を巡る話し合いを始めることで合意し、韓国がGSOMIA破棄通告を凍結することでいったん、落着した。

文春新書
韓国を支配する「空気」の研究
牧野愛博

定価:990円(税込)発売日:2020年01月20日

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