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「なかなか死ねない時代」に生きる

「なかなか死ねない時代」に生きる

村上 陽一郎

『死ねない時代の哲学』(村上 陽一郎)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

どういう死に方を選ぶのか

『死ねない時代の哲学』(村上 陽一郎)

 人生の終わりが、医療によってコントロールされ、ある程度の長さを引き延ばされるようになったことで、一人ひとりが、自分の死について具体的に考えざるをえない現実に直面する。これはおそらく、今までの歴史でなかったことだと思います。

 自然な死を選ぶのか、医療チームには延命のためのあらゆる手だてをつくしてもらいたいのか。

 将来、自分が終末期医療を受けるような状態になった場合、どういう死に方を選ぶのかを、あらかじめ決めておかなければならないのは、今の医療現場では、自然な死を迎えるためには、「不自然な延命治療はやってほしくない」という意志表示を残しておく必要があるからです。逆に言うと、本人の明確な意志が確認できない限り、現場ではあらゆる延命治療をしようとしますから、結果として「なかなか死ねない」状況になってしまうこともありうるわけです。

【次ページ 遠くなった死】

文春新書
死ねない時代の哲学
村上陽一郎

定価:935円(税込)発売日:2020年02月20日

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