小学校に入る前から、幸福の科学の教義を教えられました。父や母から直接レクチャーを受けることはほとんどなく、教団の職員が家庭教師についていました。
そして、「世の中の一般的な考えは、基本的に間違っている。齟齬があった場合は、我々が正しい。世の中の人が言うことを信じてはいけない」と、常々言い聞かされました。たとえば進化論について、「あれは悪魔の教えだ」「ダーウィンは転生輪廻を否定したせいで、無間地獄に落ちている。自分ひとりしかいない空間に、何万年も閉じ込められているんだ」といった具合です。
自分の置かれた家庭環境が、よその家とはだいぶ違うらしいと気づいたのは、小学校に入ってからでした。学校の外で友だちと会うことは禁止され、誰かの家へ遊びに行く機会もなかったので、なかなか比較ができなかったのです。「宏洋様は生まれつき特別な使命を帯びている人間であって、卒業したら彼らに会うことは二度とないのだから、親しくなってはいけません」と教えられていました。
子どもの頃から抱いていたさまざまな違和感は、次第に膨らんでいき、成長するにつれて消せなくなりました。結果として私は、2018年に自分から教団を離れました。見聞きした内情をYouTubeやTwitterで発信したところ、教団から損害賠償請求の訴訟を起こされている身です。
教祖であり神様である人の家に生まれるということが、どんなに奇妙か。この本では、私が実際に経験した日常を綴っていきたいと思います。
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